救命救急講習の会場や、災害時の一時避難場所として活用できる災害医療研修棟が7月10日、和歌山市木ノ本の和歌山ろうさい病院に完成した。同院は「高台まで少し遠く、避難できる施設を求める声が以前から地域にあった。足の不自由な人ら災害弱者を受け入れ、住民の安心につながれば」と語る。

 鉄筋コンクリート4階建てで延べ床面積は約2600平方㍍。1階は健診センター、2・3階は研究室、4階は多目的共用室や備蓄倉庫がある。多目的共用室は約400人収容でき、普段は応急処置法の講座や健康セミナーを開く。屋上のヘリポートは災害時のみ利用し、本館の手術室へスロープで直接行ける。

 2011年の東日本大震災発生20日後に就任した南條輝志男院長が、南海地震への備えとして「大規模災害に強い病院を」と構想。同市の人口の4割は紀の川以北に住んでおり、災害時に紀の川にかかる橋が通行できなくなった場合、孤立する危険性があるため、災害時の拠点病院を目指して開設した。

(ニュース和歌山2015年8月1日号掲載)