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 JR海南駅構内にある海南市物産観光センター。カウンターの花瓶に生けられているススキに…えっ、秋の虫!? 実はこれ、同市鳥居の楠本節美さん(75)がススキの葉で手作りしたもの。今にも虫の声が聞こえてきそうなほどの出来映えで、センターを訪れる人の視線を集めている。

 長く刺しゅうに親しみ、海南市展での入賞歴を持つ楠本さんは1991年から24年間、大分県で過ごした。その間、手芸店で偶然出会った女性から、ススキを材料に虫を作る方法を教わった。

 今年5月に故郷に戻り、地元でススキを集めて製作。胴体は葉、足は葉の芯の部分、触角は葉を細く切って仕上げた。最初は鮮やかな緑色で、時間の経過と共に茶色く変化するが、「それも味ですね」と楠本さん。

 市の玄関にあたる同センターには10月14日に寄贈。センター内には市民が趣味で自作した品を展示、販売するボックス「たまてばこ海南」が設置されており、手作り品に関心の深い人が普段から多く訪れる。同センターは「楠本さんの作品は、近づいてじっくり見て『これ何?』と言った後、『どうやって作るの?』と質問される方が多いです」。

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 草の虫に加えて贈ったのが、稲わらで仕上げた縁起物の亀。こちらも大分で習ったもので、秋の稲刈り後に製作するそう。しっぽのあたりには稲穂をつけている。楠本さんは「残念ながら国体までには完成しませんでしたが、全国障害者スポーツ大会には間に合いました。耳にしたくないニュースが多い昨今、こうした手作り品を見てホッとしてもらえたらうれしい」。作品はしばらく展示する予定だ。
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 同センターは次の体験会を開く。11月7日(土)=パワーストーンでブレスレット(1800円)、スイーツデコ(1000円)▽8日(日)=押し花(100円~)、陶芸(1000円)。希望者は同センター(073・484・2326)か「まちづくり海南」ブログ。7日はあすなろ共同作業所による菓子類の販売、似顔絵もある。

(ニュース和歌山2015年10月24日号掲載)