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 太地町の古式捕鯨を紹介する企画展「鯨とり」が11月10日(火)~12月6日(日)、和歌山市吹上の県立博物館で開かれる。日本動物園水族館協会が5月、世界動物園水族館協会の要求を受け入れ、追い込み漁によるイルカの入手を禁止したのを受け、県が急きょ企画した。11月25日(水)には、捕鯨を取り巻く世界情勢と、太地の文化を伝える特別講演会を県民文化会館小ホールで行う。

 江戸時代初期~明治時代初め、太地町で行われていた古式捕鯨。17世紀後半に同町で網取法が考案されて以降、舟の製造や鯨の解体、鯨の歯やひげで工芸品を作るなど捕鯨の産業と文化が発展した。

 現在は、県の許可のもとイルカの追い込み漁をしているが、反捕鯨団体から抗議を受けている。5月に日本動物園水族館協会が加盟施設に追い込み漁によるイルカの入手を禁止。太地町のくじらの博物館は9月に同協会を脱退している。

 県立博物館が捕鯨をテーマにした展示をするのは初めて。同館所蔵の「紀州熊野浦捕鯨図屏風(びょうぶ)」、くじらの博物館所蔵の「紀州太地浦鯨大漁之図・鯨全体之図」(写真)など35点を並べる。江戸時代の鯨組の子孫が保管していた鯨のひげで作った籠花入、歯でできた将棋駒など初公開の物もある。

 県立博物館の竹中康彦学芸課長は「江戸時代に太地で捕鯨の文化が確かにあったことを認識してほしい。歴史的事実を文化的な側面からしゅくしゅくと伝えていければ」と話している。
 280円、大学生170円、高校生以下、65歳以上は無料。月曜休館。同館(073・436・8670)。

 講演会は、追い込み漁の正当性を訴えようと県資源管理課が企画。同町歴史資料室の櫻井敬人学芸員が「六鯨を追う龍虎華形の鯨舟」、『恐怖の環境テロリスト』などの著者で産経新聞社記者の佐々木正明さんが「捕鯨を巡る世界情勢」をテーマに話す。午後1時。無料。定員300人。同課(同441・3010)。

(ニュース和歌山2015年10月31日号掲載)