菖蒲ケ丘地区 高層階から高齢者救う訓練

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 団地の高層階で暮らすお年寄りを住民が救助する防災訓練が11月22日、和歌山市西山東の菖蒲ケ丘地区で行われた。菖蒲ケ丘自治会の鈴木義平会長は「少子高齢化、核家族化といった日本の縮図とも言える地域。住民の絆を築く一歩にしたい」と意気込みをみせた。

 1960年代に開発された菖蒲ケ丘団地。686世帯中65歳以上の1人暮らしは224世帯に上り、自治会では昨年から災害時に救援が必要な人を把握するため、要援護者の登録を進めている。今回は毎年11月に行う防災訓練に合わせ、要援護者の避難を住民が手助けする訓練を新たに盛り込んだ。

 南海トラフの巨大地震の発生を想定し、住民約350人が避難集合場所へ走り、安否を確認。民生委員を中心とした有志メンバーは2〜4階にいる要援護者の自宅を訪ね、4人1組で車いすを抱えながら7分かけて外へ運び出した。4階から救助された歩行困難な女性(84)は「以前近くで火事があり、必死で下の階へ逃げましたが、今の足腰の状態では逃げられないとあきらめていました。地元の人に連れて行ってもらえるのはありがたいです」と安心した表情だった。

 避難集合場所では、手作りのかまどでの炊き出しや仮設トイレの製作、特産の竹を使った食器作りに取り組んだ。同地区防災減災協議会アドバイザーの中筋章夫さんは「消防士などの専門家ではなく、住民が災害弱者を救済し、一つになって取り組む訓練は珍しい。要援護者と支援者の登録を進め、救出体制を整備していきたい」と考えている。

写真=力を合わせて車いすを抱えて救出した

 

木本地区 防犯活動にありがとう

2015120502_kimoto 登下校時の見守り活動をする和歌山市木本地区の地域安全推進員会や北署に感謝の気持ちを伝える「ありがとうフェスティバル」が11月27日、同市榎原の木本小学校で開かれた。小学2年と6年が合唱や太鼓を披露した。尾形兼資校長は「雨の日も雪の日もどんな時でも児童の安全を見守ってくれ、ありがたい」と話した。

 1968年に防犯委員会の名前で結成した地域安全推進員会は、夜間や夏休み、冬休み中のパトロールを続ける。2006年には、同会を母体に子どもまもり隊を発足。315人の住民有志が隊員となり、児童の登下校時に交差点や横断歩道に立っている。同会は長年の功績が讃えられ、9月には全国防犯協会連合会会長と警察庁長官から団体として和歌山県で唯一となる表彰を受けた。

 ありがとうフェスティバルでは、2年生が「暑い日も寒い日も見守ってくれてありがとう」と歌詞にした『森のくまさん』の替え歌と音読劇を発表。続いて6年生が、合唱と力強い木本太鼓で6年間の感謝を伝えた。

 子どもまもり隊の國政明通隊長は「感銘を受けました。木本の宝物である子どもたちを地域一体となり守っていきます」と今後の継続を誓った。

(ニュース和歌山2015年12月5日号掲載)