2009年から中断されている片男波干潟の潮干狩りを復活させよう──。和歌山市和歌浦西の和歌浦小学校で4日、アサリを外敵から守るため、竹の中で守り育てる「あさり姫プロジェクト」が始まった。県環境学習アドバイザーの平井研さんが主宰する市民団体「海辺の教室」と和歌浦漁協が連携。3年生41人がアサリを育てる装置を作った。
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 初夏の風物詩として親しまれてきた潮干狩りだが、ツメタガイやエイなどに食べられアサリが激減し、ここ7年間は中止している。現在はネットを張り、漁協がツメタガイを駆除して守り、今年4月には漁協や観光協会でつくる和歌浦活性化活動組織と和歌山市が復活に向け連携を始めた。

 同小では今年度、海辺の教室と漁協の漁師が講師となって、学習会や干潟の観察会などを実施している。今回は外敵から稚貝を守るための「なよ竹部屋」づくりに挑戦。徳島市で成果を上げている方法で、同小では四季の郷公園の竹を材料に使った。子どもたちと漁師が50~60㌢の竹筒を縦にのこぎりで慎重に切り、接続バンドとひもを通し、魚やカニの絵と名前を書いて完成させた。

 福森まあいちゃんは「干潟がアサリでいっぱいになるといいな。1つひとつがおっきく育ってほしい」とにっこり。同漁協の横田邦雄代表幹事は「潮干狩りが復活した時にこの活動でアサリを守ったことを思い出してほしい。地元を愛する心につながれば」と期待を寄せる。

 完成した11本は来春、稚貝を10~15個ずつ入れて干潟に設置し、数年かけて育てる予定。平井さんは「実際に干潟でハクセンシオマネキを見たりクイズ形式で環境を考えたりと、授業を通じて子どもの関心は高まってきた。設置作業も一緒に行い、今後の成長を見守っていきたいですね」と目を細めていた。

写真=漁師と子どもたちが協力して、なよ竹部屋を作った
(ニュース和歌山2015年12月12日号掲載)