大辺路など22ヵ所

2016062502_isan 世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に7月、新たなエリアが追加登録される見通しとなった。また、和歌山県立紀伊風土記の丘(和歌山市岩橋)がある国の特別史跡、岩橋千塚古墳群に2つの前方後円墳が10月、追加指定される予定。保全に取り組んできた市民団体からは喜びの声が上がっている。

 新たに登録されるのは22ヵ所で、中辺路は稲葉根王子跡、潮見峠越(写真)、赤木越など11・4㌔、大辺路は闘鶏神社、富田坂、清水峠など4・1㌔、高野参詣道は三谷坂、黒河道など24・6㌔。追加登録に向け、県は2010年に調査を始め、地元の協力を得て、古老に話を聞き、古文書を解読し、あいまいだったルートや、不確かだった歴史の裏付けを固めてきた。

 7月10日からトルコで開かれるユネスコの世界遺産委員会の承認で追加登録が決まる。「3ヵ所しか登録地がなかった大辺路は、闘鶏神社を起点に9ヵ所増え価値が高まった」と県文化遺産課。

 1997年から世界遺産への登録運動を続けている「『熊野古道』を世界遺産に登録するプロジェクト準備会」の小野田真弓さんは「初回登録のエリアにはない稀有(けう)な道ばかり。異文化理解の教材として大変活躍すると思う。ユネスコや国ではなく、地元の私たちが守り、語り、育みながら後世に伝えていくことが大切です」と語る。

 

県内最大 天王塚も

 岩橋千塚古墳群は5世紀初頭から7世紀後半にかけ築造された約850基に及ぶ日本有数の大規模な群集墳で、約430基が国宝に相当する特別史跡に指定されている。6月17日に開かれた国の文化審議会を経て文部科学大臣に答申。10月に正式指定となる。

 追加される見込みの天王塚は大日山と矢田峠の中間にあり、標高155㍍と周辺で最も高い位置にある。全長88㍍は県内最大で、石室の天井は高さ5・9㍍と全国2位。金・銅製の金具、ガラス玉、弥生土器などが出土している。大谷山22号墳は全長約70㍍の前方後円墳で、人物や家、動物などのはにわ、土器などが見つかった。

 12年から天王塚の保存を求めてきた「岩橋千塚を守る会」の鴨口正紀さんは「市民みんなの思いが結集して実現した。県と協調し、市民でもできる保全や活用について後押ししていきたい」と意気込んでいる。

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 三谷坂七夕ウォーク=7月2日(土)午前8時〜10時、JR和歌山線妙寺駅を順次出発。三谷坂を通り、丹生都比売神社までの7㌔。500円。申し込み不要。同ウォーク実行委(0736・33・4909)。

 

(ニュース和歌山2016年6月25日号掲載)