楠見東小

 プロミュージシャンや地域の人を〝先生〟に招き、和歌山市の小学校で授業が開かれました。善明寺の楠見東小学校ではジャズの魅力にふれ、里の山口小学校では平安時代の暮らしを教わりました。

 日本を代表するジャズプレーヤーでつくる「古野光昭フルノーツ・ウィズ・寺井尚子」が15日、楠見東小学校を訪問。一流の演奏を披露し、子どもたちと共演を楽しんだ。棚田修司校長は「皆、演奏に聴き入りました。小学生にとってあまりなじみのないジャズの楽しさを知ってもらう機2016062507_jazz会になった」と喜んでいた。

 優れた舞台芸術を鑑賞することで発想力やコミュニケーション力を伸ばし、将来の芸術家を育てようと文化庁が行う巡回公演「文化芸術による子供の育成事業」の一環。「ベースの巨匠」と呼ばれる古野さん率いるフルノーツとヴァイオリニストの寺井さんが訪れた。

 ジャズの定番曲『A列車で行こう』からスタート。テンポ良いリズミカルな曲に、自然と手拍子が広がった。次にデキシーランドジャズ、スウィングジャズ、モダンジャズの違いを演奏しながら紹介。ジャズ風にアレンジした校歌が流れると、子どもたちは元気いっぱい歌った。

 後半は、5月に古野さんらが同校を訪れて指導した曲で共演した。6年生は『ハイ・ホー』をリコーダーで奏で、古野さんらがバックミュージックを手がけた(写真)。また、『テキーラ』では、代表児童3人が舞台に立ってボディーパーカッションを披露。曲に合わせて全員で「テキーラ!」と叫びながら、拳を突き上げた。

 舞台に立った高橋優次郎くん(5年)は「すごく緊張したけれど、盛り上がってきて楽しくできた」と笑顔。リコーダーで共演した6年の西本桃香さん、野田わこさんは「毎朝練習していたのでうまく吹けた。もっと他のジャズも聴いてみたい」と声を弾ませていた。

 古野さんは「子どもたちの演奏も、歌もいずれも上手で素晴らしかった。この経験を忘れず、将来、ジャズプレーヤーを目指してくれる子が1人でもいれば本望です」と願っていた。

 

山口小

2016062507_heian 平安装束に身を包んだ担任の坂本則子教諭ら2人が6年生の前に登場すると、「わーっ」と歓声が上がる。山口小学校で9日に開かれた授業の1コマだ。

 地元の清水良徳さんが毎年6月に平安時代の衣装や道具を見せ、当時の生活を解説しており、今回が15回目。まず、男性の服は衣冠(いかん)、女性は狩衣(かりぎぬ)と紹介し、「衣冠はお公家さんの仕事服で、今ならビジネススーツです。狩衣は動きやすいようゆったりした普段着」と話した。

 続いて、冠から垂れる纓(えい)を指し、「これは下向きですが、巻いたのや短く立つのがあり、位(くらい)が分かります」と説明。耳を傾けていた須部陽介くんは「上に長く伸びるのは天皇陛下だけが付けたとか、仕事により形が違うのに興味がわきました」。

 また、手に持つ細長い笏(しゃく)と呼ばれる板の説明を聞いた内海咲音(さおと)さんは「人前で話す時、笏に文字を書き、カンニングしていたとは」とほほ笑んだ。

 清水さんが強調したのは、貧富の差が激しかったこと。「貴族はこんな服を着て、米を食べてましたが、一般の人の服は袋に穴を開けただけで、食事は木の実や根っこ、粟(あわ)なんかでした」

 児童からは「昔は何歳まで生きれたの?」「お医者さんはいたの?」「家の大きさは?」と質問が続出。火事の話を聞いた前田結愛(ゆうあ)さんは「広がらないよう隣の家を壊し、消えるまで放っておいたことに驚いた」。最後に清水さんは「疑問に思ったことを自分で調べれば、より力になります」と語りかけた。

 

(2016年6月25日号掲載)