島精機 発明協会の「戦後日本のイノベーション100選」に島精機製作所(和歌山市坂田)の「全自動横編機」が選ばれた。この100選は、同協会が2年前に110周年を迎えたのを記念し、戦後、日本の産業経済の発展に貢献した技術革新の認定を始めた。島精機の全自動横編機は、高度成長期後の安定成長期の技術として選定された。

 1962年創業の同社は、島正博社長が64年に全自動手袋編機を開発後、ニット横編機の製作に乗り出し、78年にコンピューター制御式自動横編機を生み出した。編み針の入れ替えを不要にし、職人技だった編み目の調整を数値化するなどコンピューター化を進め、効率化に成功した。95年には裁断と縫製を全く必要とせず、ニット製品を一つの工程で編み上げる完全無縫製型横編機(ホールガーメント横編機)を作り上げ、多様化する市場への対応力を飛躍的に上げた。現在まで、横編機とバーチャルシミュレーションを駆使したデザインシステムの融合を図り、技術力をさらに向上させている。

 イノベーション100選は合計105件で、インスタントラーメンやマンガ・アニメ、新幹線、内視鏡、家庭用ゲームなど戦後日本人の生活を大きく変えた様々な発明品が選ばれ、島精機の開発もこれらと並ぶものとして評価された。同社は「創業以来世界初の技術開発を重ねてきたことが評価された証しとして喜んでいます。今後とも企業理念である『EVER ONWARD~限りなき前進~』のもとチャレンジを続けていきます」と話している。

(ニュース和歌山2016年8月20日号掲載)