和歌山市を拠点に創作の楽しさを伝えるアートホーム・フラリの佐竹幸さんはTシャツアート祭りや貝殻での写真立て作りなど様々なイベントを開いている。30日(火)には加太海水浴場で楽器を作り、演奏するワークショップを行う。「アートは上手い下手ではない。自由に描く自己表現の場なんです」と力を込める。 

 「好きな色で何でも描いていいんやで」──。絵筆を持って子どもたちに満面の笑みを見せる。8月14日、ぶらくり丁で卵の空きパックをパレットに、子どもたちがTシャツに花や虫、キャラクターなど思い思いの絵を描いた。「失敗したけど、最後は上手くできた」「かわいくできた」と大好評。佐竹さんが2010年から毎年夏に開くTシャツアート祭りは、口コミで話題を呼び、今年は10日実施し、計225人が参加した。

  大阪デザイナー専門学校絵本創作科を卒業後、生花店で5年働き、子育てしながら、きのくに子どもNPOで工作のワークショップを月1回行ってきた。活動が広がりを見せたのは4年前。子育てに悩み、不安な日々が続いていた。その際、親子で受けたカウンセリングで、創作することで心をケアするアート療法に出合った。

  「色使いや描く物に見えなかった心の中が現れ、息子や自分と向き合えた。アートの新たな可能性に気付きました。『子育てもアートと同じように固定観念にしばられなくていいや』と思え、心がほぐれた」と笑う。

201608277furari 以来、自由に描く楽しさを伝えるため、自宅教室を開くほか、地域のイベントにも精力的にかかわるように。「言葉で表現できず悩む子が正解のないアートで好きなように自分を出してほしい」と自ら催しを企画する。今夏、八幡台小のPTAの一員として企画した肝だめしは、放課後90人の子が集まり、お化けの絵を描いて準備した。「どの子も夢中になり、キラキラ輝いてくる。作品から子どもたちの心の声が聞こえてきます」と語る。 

 佐竹さんを「さっちゃん」の愛称で親しみ、アートホーム・フラリのイベントに何度も参加する子も多い。佐竹さんは「いつか子どもたちが大きくなって、恋愛相談に来てくれるような、そんなおばちゃんになりたい。フラリのアートの場が、人と人をつなぎ、安心して帰って来られる居場所になれば」と願っている。

 このほか、大人向けのパステル画、曼荼羅(まんだら)アート教室なども開催。30日は、午後4時から貝殻や砂で楽器を作り、5時から打楽器を交え、輪になって演奏。2000円、高校生以下1500円。希望者は、29日までにフラリ(073・412・3111)、メール(ri.sachin51.foo@gmail.com)可。先着20人。

写真=Tシャツアートで子どもと触れ合う佐竹さん