20161022_cn 和歌山市の社会保険労務士、富永博さん(66・写真)が10月15日、『がん患者の社労士が書いた 自分らしい「がん」とのつきあい方』をウイング出版部から発行した。現在も治療を続ける富永さんが患者目線でつづった一冊で、「がんと分かり、どうしたらいいか分からない方のお役に立ちたい」と望んでいる。

 社労士として忙しい日々を送る中、 2013年6月、富永さんは腹部がはり、激しい腹痛と吐き気に襲われた。緊急入院し、検査した結果、直腸がんと判明。その後、2回の手術を経たが、翌年3月に肺への転移が分かった。「治療を続けても2年の命と告げられ、さすがにショックでした」と富永さん。

 治療に専念する一方で、仕事を整理し、時に好きな旅行に出かけた。そして〝2年目〟を迎えた今春、心境に変化が現れた。「多くの本は医師目線で書かれている。患者だからこそ分かることを本にまとめたい」

 2週間に1度の抗がん剤治療を受けつつ、折をみて原稿をまとめた。16章構成で、がんについての基礎知識をはじめ、経済的な負担を軽くする制度を解説。相談機関は患者の課題にそって紹介し、中でも社労士として約40年間勤めた知識と経験を生かし、20161022_cn1がん治療と仕事を両立する方法をQ&A方式で分かりやすくまとめた。

 また、「がん患者になってよかったこと」と題し人生観の変化にページをさいた。勇気をもらった言葉、患者として家族や周囲の人に配慮してほしいことも記した。

 富永さんは「がんは昔と違い、慢性疾患のように長くつきあう病気という面が出てきている。本が患者として次の一歩を踏み出す入り口になれば」と話している。

 四六判。142㌻。756円。問い合わせは和歌山経営労務事務所(FAX073・422・0522、〒640・8404和歌山市湊1410、富永ビル2階)⇨抽選で5人にプレゼント。応募方法は11面参照。

(ニュース和歌山2016年10月22日号掲載)