20161022_rv 川幅が狭くなっている紀の川の「岩出狭窄(きょうさく)部」(写真)。両岸がせり出している上に、貴志川などが合流するため、過去に橋の流失や住宅地などへの浸水が起きている。この被害を軽減しようと国が対策に乗り出し、治水工事の起工式を10日に行った。

 北岸は岩出の地名の由来となった岩石質の岩盤、南岸は御茶御殿山が突き出す岩出狭窄部。川幅は周辺が400㍍以上なのに対し、狭窄部は250㍍で、農業用水をくみ上げる頭首工もあるために流速が落ち、上流に土砂が堆積しやすい。

 洪水時は、支流の貴志川や春日川の水が、水位の上がった紀の川に合流できず、用水路などから田畑、住宅地へと浸水することがある。最近では2011年と13年に岩出市岡田や紀の川市貴志川町丸栖などで起きた。

 工事は今年度から5年間。井阪橋下流で堆積した土砂を撤去し、川底を掘り下げ、川の容量を増やす。また、頭首工の隣に幅約20㍍、深さ4〜5㍍の水路を120㍍に渡り整備。この対策で水位を堤防が決壊する恐れのある高さから1㍍下げる。

 国土交通省和歌山河川国道事務所は「安全性が高まれば企業も進出しやすくなり、経済発展に寄与できる」と話している。

(ニュース和歌山2016年10月22日号掲載)