新作相次ぎ出版

 児童文学作家の嘉成晴香さんが、ふるさと和歌山市を舞台にした2つの小説を相次いで出版した。『セカイヲカエル』には和歌山城や紀の川などが登場。もう1つ、『流れ星キャンプ』の「星山町」は和歌山市、「星ノ川」は「紀の川」がモデルで、「私は紀の川が大好き。小さいころから川辺で遊んだり、高校時代の通学時に自転車で渡り、波を見ながらその日のストレスを浄化してもらったり。2作ともそんなたくさんの思い出が込められています」と語る。

 嘉成さんは中学2年の時、詩集『会いたくなったら いつでも会える』を出版。2013年に朝日学生新聞社児童文学賞を受賞した『星空点呼 折りたたみ傘を探して』は翌14年に児童文芸新人賞にも選ばれた。同年からはニュース和歌山正月号企画「干支が主役!創作童話コンクール」の審査員を務めている。

 7月に朝日学生新聞社から出した『セ2016111908_kanari2カイヲカエル』は今年1~3月、朝日小学生新聞に連載した作品だ。小学6年の彩人と連司は幼なじみ。突然、引っ越すことになった彩人だが、その先は20年前!? 一方、中学受験のため勉強に打ち込む連司は知らず知らずのうちに自分が友達をいじめていることに気づき…。

 物語は現在と過去に分かれた2人が語る形で展開。嘉成さんは「前作の『星空点呼』はいじめられる側、この作品はいじめる側の視点で書きました。新聞連載中からどんな反応が来るか、怖くもあったのですが、好意的なたくさんの感想をいただきました」。

 書き下ろしの『流れ星キャンプ』はあかね書房から10月に発行した。母が夜勤の日、川原でこっそりキャンプをし、天体観測を楽しむ少年、圭太、長く入院生活を続ける少女の明里、妻を亡くし、一人暮らしするおじいさんの平井。偶然出会った3人は──。

 「おじいさんは還暦前後の年代。子どもはもちろんですが、アルバムをめくっているような気分になってもらえると思いますので、大人にこそ手にとってほしい」と嘉成さん。「行動することは良くも悪くも他人を巻き込むこと。それを恐れず、一歩踏み出すことで素敵なことにつながるかもしれない。そんな希望を持ってもらえたら」

 『セカイヲカエル』は1296円。朝日学生新聞社(03・3545・5436)。『流れ星キャンプ』は1404円。あかね書房(03・3263・0641)。宮脇書店和歌山店とロイネット店ほかで取り扱い。

(ニュース和歌山2016年11月19日号掲載)