kizukawa1 演劇や落語を独自の視点で解き明かす元和歌山大学客員教授の木津川計さんが12月4日(日)午後1時半、和歌山市西高松の松下会館で映画『私は貝になりたい』を題材に一人語り劇場として口演する。「南スーダンへ自衛隊派遣が決まった今こそ、どう戦争と向き合うかを訴えたい」と気持ちを込めている。

 映画は1959年に封切られた。主人公の清水豊松は、死にかかっていた捕虜の米兵にとどめを刺すよう命令されたが、おじけづいて腕を突いただけ。臆病さをなじられ、上官に殴られて気絶してしまう。しかし、戦後のB級戦犯裁判で、豊松に死刑が宣告される。無実を信じた豊松だが、刑執行の前夜、遺書をしたためた──。映画は大ヒットしたものの、橋本忍監督の脚本は、映画界の巨匠、黒澤明に酷評された。橋本自身も「何かが足りない」と考えていた。

 木津川さんは、前半で映画を語り、そこから戦争裁判の不合理、戦争の不条理を浮き彫りにする。さらに、後半では別映画との対比から、豊松が残した平和へのメッセージを解き明かし、何が足りないのか、酷評されるような映画だったかに言及する。

 資料代500円。希望者は同館(073・427・4623)。

(ニュース和歌山2016年11月26日号掲載)