12の駅、バス停周辺など

 

 人口減少が進む和歌山市は、商業施設や医療・福祉施設、住居を、中心市街地や特定区域に集約するコンパクトシティの実現に向け、立地適正化計画策定を進めている。来春には、食品スーパーや医療・福祉施設などを指定区域外に新設する際、届け出を義務化する方針。約20年先を見越し、人口減に歯止めをかけ、2060年には現在と変わらない人数まで引き上げを見込む。

拠点位置図 高度成長期以降、全国的に市街地が急速に拡大し、郊外には大型商業施設が建設された。その後、中心市街地が空洞化し始め、都市機能集約が課題となった。市都市計画課は「和歌山市の人口が集中する区域は50年で3倍ほどになり、人口が郊外へ拡散した。人が減ると、都市機能の低下につながる」と分析する。

 計画では、都市機能誘導区域として、和歌山市駅、和歌山駅、和歌山城周辺の中心拠点区域と、紀ノ川駅、紀三井寺駅など10駅周辺、高松、延時の2バス停周辺に地域拠点区域を設定。地域拠点に病院、内科、小児科の診療所、1000平方㍍以上の生鮮商品スーパー、コミュニティセンターを、中心拠点にはこれらに加え、大学、百貨店、こども園などをまとめる。これらを区域外に新設する場合は届け出が必要となる。

 2017年度には、新たに居住誘導区域を設定し、3戸以上の住宅新築や開発時に届け出を義務づけ、人口密度を維持するエリア確保を図る。市は「緩やかに都市機能や居住を誘導し、徐々に集約させたい」と考える。

 ただし、届け出の義務化とはいえ、いずれも罰則や強制力がない。和歌山大学経済学部長の足立基浩教授は「都市を集約しないと、道路や水道といった基盤を維持できなくなる。一方で、財産権があるため、強制はできない。そこがコンパクトシティへの流れをつくる難しさ」と指摘している。

(2016年12月10日号掲載)