芸術にスポーツ、市民活動…。今年も様々な分野で活動された情熱あふれる多くの方々に、紙面を熱く飾っていただきました。年内最終となる今号では、そんな皆さんの中から編集部独断で「ニュース和歌山大賞」を選出。9組を紹介し、その活躍に敬意を表します。

ストリートダンス天下一 ベストステップ賞 NOBBYさん

 世界最大級のストリートダンスバトル大会「ジュストゥ・ドゥブ」が3月、フランスのパリで開かれ、和歌山市本町にスタジオ、ホーミーズを構えるダンサー、NOBBYさんがロッキング部門で1位に輝きました。大阪のMASATOさんとのペアで挑戦し、息の合ったダンスが評価されました。8月には国内初となる世界大会をダンス仲間と共に和歌山市で開催。10ヵ国400人がレベルの高い踊りを披露しました。

nobby

ハンググライダー世界新 スポーツ賞 礒本容子さん

 スカイスポーツのメッカ、紀の川市に住む礒本容子さんは1月、オーストラリアで開かれたハンググライダーの大会に出場。参加した女子選手で唯一、ゴールまで飛びきりました。約7時間かけて飛んだその距離、実に367・6㌔。この記録が国際航空連盟から女子の目的地直線距離世界記録に認定されました。「目標は、男女を問わない日本代表に入り、世界選手権に出ること」。次の大きな夢を大空に描いています。

isomoto

火の海の記憶 後世へ 平和賞 県戦争空襲体験者伝承者の会

   1100人を超える死者を出した1945年7月9日の和歌山大空襲を語り継ぐ県戦争空襲体験者伝承者の会。マラソン愛好会メンバーが和歌山城周辺を走った際、一帯が空襲で火の海になった歴史を知り、立ち上げました。戦時中を生き抜いた人の声、史料を集め、講演会、交流会を開き、夏には空襲を知る会員が小学校で体験を語りました。体験者は目にした光景を後世に伝え、戦争を知らない世代はその声を胸に刻んでいます。体験の風化を防ぐ活動に平和賞です。

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ウガンダ野球に貢献 国際賞 土井拓哉さん

 かつてウガンダで指導した青年を和歌山大学野球部に招き、日本の野球を伝えたのは和大教育学部4年の土井拓哉さんです。国際協力機構の野球指導員として、昨年9月から今年3月までウガンダで活動し、帰国後、有望な若者を来日させ、指導者に育てようと奮闘。110人から渡航費98万円を集めました。9月に来日した19歳のカトー・エリックさんと3ヵ月間、寝食を共にし、指導に励みました。

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オペラ 親しみ深く 音楽賞 矢倉愛さん

 オペラに親しんでもらおうと、1年間に渡り毎月1回、初心者向けイベント「オペラはじめます」を開いた和歌山市のソプラノ歌手、矢倉愛さん。豊中市のピアニスト、加藤英雄さんとタッグを組み、『椿姫』はじめ数々の名作を、手作りのプログラムと分かりやすい解説を交えて披露しました。6月にはブルガリアのスタラザゴラ市国立歌劇場で行われた『蝶々夫人』の舞台で主役を務め、岩出市で凱旋(がいせん)公演を行いました。

yakura

絶滅心配な鳥調査 自然賞 宗 尚輝さん

 自然賞は東海南中学校2年の宗尚輝さんです。宗さんは校区内のとある蔵で毎年、ひなを育てるフクロウの仲間、アオバズクの生態を研究していますが、その方法がユニーク。エサを食べた後に残されるチョウや蛾(が)の羽、カブトムシの頭部分などを毎朝確認し、どんな種類の虫を、どのくらい食べるのかを調べています。その成果は、11月の「日本学生科学賞」県審査で知事賞と、最高の評価を得ました。

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七曲市場で台湾夜市 にぎわい賞 日台交流協会

 台湾各地で開かれるナイトマーケットを9月に七曲市場で実施、多くの人を集めた和歌山日台交流協会がにぎわい賞です。台湾ファン40人でつくり、これまで語学講座や台湾料理教室、交流会など和歌山と台湾をつなぐイベントを多数開いてきました。夜市では、ずらりと並んだ赤いちょうちんが台湾の夜を再現し、本場の料理に行列ができていました。

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東北の海 写真に 被災地支援賞 塩崎仁美さん

 東日本大震災から5年。和歌山の海を拠点に活動する水中写真家の塩崎仁美さんは、津波の被害を受けた三陸海岸でボランティアダイバーとして活動を続け、3月には東北の海を撮影した写真展を和歌山市で開催。移り変わる海底の景色を写した作品には自然の力強さがあふれ、「東北に少しでも心を寄せてほしい」との願いが込められていました。5月からは本紙水曜号で連載を担当。和歌山の海の魅力を届けています。

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課題抱える若者支え サポート賞 大江隆之さん

 不登校やひきこもりなど、心に課題を抱えた若者を受け入れ、就労支援を行う紀の川市貴志川町長山の弁当店「コミュニティランチ和」が10周年を迎えました。これまで受け入れた若者は200人にのぼり、2割が就職や進学と、次のステージへ進むことができました。店主の大江隆之さんは10周年を節目に、食を通じた子ども支援を拡大させようと8月に和歌山市で子ども食堂も開始。高齢者生活協同組合と連携し、支援の輪を広げています。

nagomi

(ニュース和歌山2016年12月24号掲載)