日本建築協会主催「工高生デザインコンクール」が11月に開かれ、和歌山工業高校建築技術クラブ2年の網代隼人さん、岸本和真さん、岩田丈希(ともき)さんの合同作品が入選した。最優秀賞、優秀賞に次ぐ賞で、学校に近い和歌浦をモデルに作成した提案が高い評価を受けた。1955年に始まったこのコンクールで県内の高校生が入賞・入選するのは初めて。

和歌浦題材の提案 高評価

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 建築を学ぶ高校生対象のコンクールで、今年のテーマは「私のまちのインフォメーションセンター」。3人が実際に和歌浦を歩いてイメージを膨らませた作品タイトルは「和歌浦交流地帯〜異文化交流と憩いの場」だ。

 外国人観光客が増える中、「有名な観光スポットだけを紹介するのでなく、地元の人だけが知っている隠れた名所を、地元の人が直接、外国人に伝えられるような施設に」(網代さん)とアイデアを詰め込んだ。

 センターは2ヵ所に分かれる。うち1ヵ所には観光客への情報提供スペースに加え、地域の人が集まりやすくするため、集会場、教室スペース、共有キッチンを設けた。網代さんは「特徴は観光客と地元住民の交流が生まれやすいよう、これら施設を2つの建物に分け、その真ん中に通り道をつくった点です」と胸を張る。

 もう1ヵ所はレストランと物産店を配置。こちらにも交流の場となる大きなホールを中央につくった。作品では和歌浦地区に空き家が増えていることも地図入りでふれ、宿泊施設としての再利用を提案。審査員からは和歌浦に直接足を運び、地域に何が必要かを分析した点が評価された。

 岩田さんは「これまでも個人でコンペに出していましたが、初めて入選できました」とにっこり。作品は手描きが条件で、スケッチが得意な岸本さんが仕上げを担当。「最後は徹夜で頑張ったので入選でき良かった」と喜んでいた。

 顧問の上田裕子教諭は「既存の建物を使ったり、空き地を利用したりする提案は、和歌浦の未来を想像できるものとなりました。真摯(しんし)に考えたことが評価されたと思います」と目を細めていた。

(ニュース和歌山2016年12月24号掲載)