和歌山大学と粉河高校、地域住民が連携し、勉強会やワークショップに取り組んできたKOKO塾が15周年を迎えた。11日に紀の川市で開いたフォーラムには約100人が参加。これまでの成果を振り返り、今後について関係者が語った。

 学校を拠点に生徒や住民が共に学び、地域や校内の課題について考えようと、当時校長だった山口裕市元和歌山県教育長が始めた。大学から専門家を招き、まちづくりや自然環境、福祉、教育など様々なテーマについて、フィールドワークや勉強会を企画してきた。

 この日は、まず、東京大学の佐藤一子名誉教授が「地域文化が若者を育てる」と題し講演。大学進学率が上がる中で画一的な生き方が若者を覆い、多様な将来設計を描くには学校だけでは限界があることを挙げ、「多世代、多業種が集まる学びの場が若者の自己形成に大切」と強調した。KOKO塾については「学歴とは異なる、生活に必要な学びを得るコミュニティの大学といえる」と評価した。

 次に、卒業後の進路選択への影響、教師目線での検証を踏まえた討論。地元商店主の楠富晴さんは「商店街の活性化は元々、型にはまった方法ばかりだったが、高校生や大学関係者が入り、まちに活気が生まれた」。和大の越野章史准教授は「課題を抱えている地域は粉河だけではない。KOKO塾は、自分たちが将来暮らす地域を知るための眼差しを育てた」と話した。

 このほか、同校卒業生が、KOKO塾の取り組みをサポートし、地域での活動を実践するグループ「粉河大学」の立ち上げを発表し、山口元教育長は「取り組みが広がり、次の段階として行政と連携した学びの浸透を図ることが大切になってくる」と展望を語った。

(ニュース和歌山より。2017年3月25日更新)