江戸時代、紀州藩主らに愛された砂糖菓子、落雁(らくがん)を作るための木型を紹介する特別展「美尽し善極める─駿河屋の菓子木型」が8月27日(日)まで、和歌山市湊本町の市立博物館で行われている。同館は「落雁は全国で作られましたが、紀州は絵画的な物が多く、教養の高さがにじみ出ている。江戸時代の和歌山の文化力を感じてほしい」と話している。


 創業550年、紀州藩の御用菓子司を務めた駿河屋が2014年に事業を停止した際、同館で保存された木型。10代藩主徳川治宝、11代斉順のころに多く作られ、和歌浦の風景や文芸作品をモチーフとした落雁は書物『南紀徳川史』に「美尽し善極めたる前後無比の良品」と記録されている。

 今展は、これら木型と完成した落雁の色彩が分かる絵手本など約250点を初公開。当時の庶民が書いた日記も並べ、駿河屋の菓子が身分を越えて親しまれていた様子を紹介する。また、15年に事業を再開した総本家駿河屋の職人が3枚組の大作「和歌の浦」(写真上)や「不老橋」などの落雁を復元し、展示する。

 400円、高校生以下無料。午前9時〜午後5時。月曜休館。同館(073・423・0003)。

 会期中のイベントは次の通り。講演会「和菓子のなかの紀州の風景」=7月29日、「駿河屋伝来資料から読みとれること─紀州の殿様と尾張の殿様の交流」=8月5日、「駿河屋の菓子木型と和歌山」=19日。いずれも土曜午後2時。無料▽呈茶(茶会)=8月20日(日)午前10時〜午後3時。300円▽木型で型ぬき体験=8月11日(金)と12日(土)各午後1時半。無料。

 絵手本に載っているしょうが羊かんを8月20日に同館、会期中に同市駿河町の駿河町本舗で販売する。810円。

(ニュース和歌山/2017年7月26日更新)