和歌山生まれのスポーツ「バスケットピンポン」(通称バスピン)。バスケットゴールのような穴が開いた小さな卓球台で楽しむ競技だ。展示会などで紀州材をPRする際、来場者の目を引くようにと、美しい木目を生かした台を試作したところ、「買いたい」「インテリアにも良い」と好評。製造する日本バスケットピンポン(和歌山市山口西)の北原友也代表は「木のぬくもりとバスピンの持つ遊び心が人気の理由ではないでしょうか。来春には商品化したい」と笑顔を見せる。

木目美しい卓球台 試作品好評 商品化検討

 バスピンは1966年、和歌山県教育次長だった故・北原雄一さんが「親子で楽しめるものを」と考案した。使う台は120㌢×60㌢と通常の卓球台の4分の1ほど。ルールは卓球とほとんど同じだが、台に設けられた穴にノーバウンドで球が入ると2点となる。


 バスピンの台に長年使っているのは、繊維を残した木材の粉を圧着させて作るMDF材。これに濃い緑で塗装している。

 紀州材を使った台を発案したのは、丸紀木材工業(御坊市)の山田祐司専務。同社は以前から紀州材のPRイベントなどに積極的に参加してきた。「木の国とも言われ、森林面積が大きな和歌山県ですが、森を守るには適正に木を切る必要がある。そのため、木の需要を高められないかと思っていました」。目を付けたのがバスピン。「展示会場に家族連れで来られる方へアピールする目玉になる」と考えた。

 アイデアを聞いた北原代表の第一印象は「面白い」。使用したのは田辺市中辺路木材加工場が間伐したヒノキで作る集成材。家の床や壁、家具などに使われる丈夫なもので、木目や節が消えないよう、透明の塗料で仕上げた。

 1月中旬に完成した試作品2台は、これまで東京で開かれた「WOODコレクション」と「木と住まいの大博覧会」、大阪での「紀州材・家づくりフェア」と3つのイベントで展示された。足を止め、バスピンに興じる来場者は後を絶たず、「いくら?」「どこで買えるの?」と質問が相次いだ。「高齢者向けの生涯スポーツに良い」と関心を示す行政関係者もいた。

 山田専務は「完成前から想像していた通り、やわらかい雰囲気。白っぽい色で明るく、『部屋の中に出したままにしていてもオシャレ』との声が聞かれました」。

 関係者が予想していた以上の人気を受け、商品化を検討中。MDF材よりコストが掛かる集成材を使うため、販売価格をどう抑えるか、試作品に使った12㍉の板では時間の経過と共に反りが見られ始めたことから厚さをどうするかなど、課題をクリアした上で発売する考えだ。北原代表は「和歌山産ヒノキを売り込む際のマスコット的な存在になればと考えられたもので、その役割は果たせていると思います。MDF材の台のように10年以上たっても使い続けられる商品に仕上げたい」と意気込む。

 板を製造する田辺市中辺路木材加工場の小坂周一さんは「バスピンは一般の方にとっつきやすい。紀州の木と紀州生まれのスポーツをセットに、全国へ浸透していけば」と願っている。

写真=木目が目を引くバスピン台

(ニュース和歌山/2017年8月5日更新)