東日本大震災の教訓を和歌山へ──。宮城県石巻市へ毎年、ボランティアを派遣している和歌山市青年団体協議会は7月3日、同市和歌浦南の片男波海水浴場管理事務所に予想される津波の高さを示す看板を設置した。同協議会の玉置和子会長は「いざという時に高台を目指す目安になる。キリンのイラストで、子どもたちにも興味を持ってほしい」と願っている。

 同市で活動するボーイスカウト、ガールスカウトなどの青年団体が集まる同協議会。2011年から毎年、石巻市にみかんを届け、交流を続ける。この中で、被災者から「海抜表示では実際にどのくらいまで津波で浸水するのか分からない。地域のランドマークに予想される津波の高さを示す方がイメージしやすい」と教わり、防災活動に力を入れる片男波地区に設置することにした。

 看板は更衣室やシャワーを備えた管理事務所の海側壁面に設置。県の浸水想定に基づき、地上から約4㍍の高さに「僕より高いつなみがくるおそれがあるよ」と書いたキリンの看板を取り付けた。片男波海水浴場管理運営委員会の保井貢事務局長は「海水浴客の3分の2が県外から。安全に誘導できるよう、日ごろからこうした意識を持つことは大切」と喜ぶ。

 玉置会長は「石巻は地震から約40分後に津波が到達し、3000人以上の尊い命が失われた。南海トラフ地震の場合、和歌山市は50分ほどで来る見込みで、今後も被災地から学べることを形にしたい」と語っている。

写真=「みんなの命が助かるように」と玉置会長(右)

(ニュース和歌山/2017年8月5日更新)