2019年に日本で開かれるラグビーのワールドカップ(W杯)。和歌山県内では上富田町がキャンプ地に名乗りを上げる。また、大会期間中、海外から観戦に訪れた人に観光してもらおうと、ウェールズの元代表選手による紹介ビデオの撮影が県内の観光地で行われた。撮影に協力した県観光交流課は「観光客向けビデオですが、ラグビー関係者にも和歌山の良さを知ってもらえる。キャンプ誘致に弾みがつくとうれしい」と願う。

 W杯は19年9月〜11月、東京、大阪など国内12会場で行われる。ひいきチームの試合がない日に高野山や熊野古道を味わってもらおうと県が働きかけ、日本政府観光局のロンドン事務所がビデオを製作。和歌山をはじめ、大阪や神戸、京都と取材地別に5分間のビデオを5本作り、イギリスのスポーツチャンネルやインターネットのワールドラグビーテレビなどで来年2月から放送する。

 出演は、08年の世界最優秀選手で、12年から3シーズン、日本でプレーしたシェイン・ウイリアムスさんと、アンディ・パウエルさんの元ウェールズ代表2人。高野山の寺院や白浜の海岸のほか、黒潮市場のマグロ解体も紹介する。

 11月4日は和歌山市で和歌山ラグビースクールの幼児や小学生24人に、パス回しやラインアウトを指導。10人がかりでアンディさんを押し込もうとした中之島小4年の池田甲登(こうと)くんは「がっしりして、押しても動かなかった」と舌を巻いた。

 練習後、2人は「子どもたちはとても礼儀正しく、好感が持てた。和歌山の素晴らしさを映像で伝えたい」と力を込めた。

 キャンプ地に立候補した上富田町は、練習会場に考えている上富田スポーツセンターに9月、トレーニングジムを備えたスポーツサロンを新設。2000平方㍍の屋内練習場もある。町生涯学習課は「温暖な気候と、自然に囲まれた環境で集中できる」とアピールする。

 ラグビー関係者も機運アップに走り回る。和歌山工業高校ラグビー部は昨秋、近くの小学校を巡りタグラグビーの指導を始めた。岡本尚也監督は「子どもに広げることで、保護者もラグビーへの関心が高まります」。

 キャンプ地には国内76ヵ所が応募し、ライバルは多い。県観光交流課は「ネームバリューのあるシェインさんらの映像がインターネットで流れれば、世界中で和歌山が注目される」と効果に期待を寄せる。

写真=元ウェールズ代表選手を10人がかりで押した

(ニュース和歌山/2017年11月11日更新)