2020年東京五輪へ一歩

 2020年の東京オリンピックで実施されるスケートボードで初めての日本選手権が4月23日、東京で開かれ、岩出市の四十住(よそずみ)さくら選手(15、伊都中央高校1年)が女子の部で準優勝した。「自分の今持っている力を出し切れた2位なのでうれしい」と笑顔。9月の世界選手権に向け、強化指定選手候補にも選ばれた。

 昨年、東京オリンピックの追加競技に決まったことから、選手強化のため、日本ローラースポーツ連盟が実施した大会。階段や手すり、斜面など街中を模したコースで滑り、技の難度やオリジナリティー、ジャンプの高さ、スピードを競う種目「ストリート」が行われ、男女合わせて63人が出場した。

 「大会ではほとんど緊張しないタイプ」と話す四十住選手は、初の大舞台でも落ち着いて次々と技を繰り出した。ミスなく、安定した滑りを見せ、最後には国内の女子で唯一できる「バックサイドノーズブラントワンエイティーアウト」を披露。残念ながら時間オーバーで得点には加算されなかったが、湾曲した壁の上でひねりを加える大技に果敢に挑み成功させると、会場は拍手と歓声に包まれた。

 上位に入った選手は7〜10年の競技歴があるのに対し、四十住選手は本格的に始めてまだ3年。所属するファイブ・クロススケートパーク(三重)のオーナー、宮前尚正さんは「短期間でここまで成長したことから、彼女を知らない人は天才だと思うかもしれませんが、すごい努力家。まれに見る身体能力と、持って生まれたアスリートの筋肉が特徴で、普通の選手ならつぶれるぐらいの練習量です」。

 宮前さんも舌を巻く練習熱心さ。平日は学校の授業が終わった後、自宅庭の特設コースで1時間滑り、さらに大阪や奈良などにある専用施設に出向いて3時間、汗を流す。週末は大阪、兵庫、三重ほかの施設を〝ハシゴ〟し、みっちり9時間、技を磨く。

 今大会の上位10選手は今後、合宿を重ね、9月に中国で開かれる世界選手権の日本代表が絞り込まれる。四十住選手は「優勝を目指して、みんなより練習を頑張ります」とさらなる努力を誓う。宮前さんは「ケガが避けられない競技ですが、それを恐れないガッツがある。このまま自分を信じ、目指すところまで行ってもらいたい」とエールを贈っている。

(ニュース和歌山より/2017年5月13日更新)