オレオレ詐欺や架空請求詐欺、還付金詐欺など後を絶たない特殊詐欺。被害を未然に防ぐため、和歌山県警は今春、県警OB10人を「特殊詐欺被害防止アドバイザー」に任命し、老人会や自治会に出向いて、手口や対策を伝える取り組みを始めた。

県警OBが出前講座

 県警本部生活安全企画課によると、県内の特殊詐欺被害は高止まりしている。2011年以降、把握している年間被害件数は49〜85件、被害額は1億5800万円〜5億6500万円で推移。昨年は63件、1億9820万円で、被害者の71%は65歳以上の高齢者だった。今年は昨年を上回るペースで増えており、5月末で42件、1億405万円となっている。

 こうした被害をなくすため、4月に新設したのが特殊詐欺被害防止アドバイザーだ。5月末までに39ヵ所で講座を開催。今後は高齢者宅への訪問や、特殊詐欺が集中している地域の金融機関、コンビニエンスストアへの情報提供も行っていく。

 5月26日には和歌山市新八百屋丁のさかうえ接骨院の依頼を受け、来院者向けに講座を実施した。地域の高齢者20人を前に、アドバイザーの石本省三さんと松本忠雄さんが、銀行員がいないショッピングセンターなどのATMに呼び出して振り込ませる事例や、振り込み、手渡しに加え、電子マネーで金を奪い取られるケースが増えていることを紹介。最後は「老後のために貯めてきたお金が奪われてしまわないよう気をつけてください」と締めくくった。

 真剣に耳を傾けていた80代女性は「今、『自分は大丈夫』と思っていても、いざその時になったらどうか…。より注意します」。企画した同院の阪上哲哉さんは「子どもと一緒に暮らしていない人も多い。皆さんが安心できる地域づくりに役に立てば」と願っていた。

 講座の講師派遣は無料だが、会場は申込者で用意する。詳細は県警本部生活安全企画課(073・423・0110)、岩出署生活安全刑事課(0736・63・0110)。

(ニュース和歌山/2017年6月10日更新)