おはなし一輪
ボクサー先生
のメッセージ
       
 昨春(2006年春)から串本町の古座高校で教師をしています。保健体育を教えるかたわら、軟式野球部の顧問として毎日、生徒と汗を流しています。その合間を縫って、5月3日から5日まで姫路市で開かれた「全日本実業団アマチュアボクシング選手権」に出場しました。
 ボクシングは大学時代に始め、和歌山市の中学校で教壇に立っている時は市内のジムに通いながら、大会に出ていました。ただ、古座高校に移ってからは紀南地域にジムがないこともあり、ボクシングから遠ざかっていました。
 今回、大会出場を決めた背景には、古座高校の統廃合が検討されていることがありました。そんな状況でも生徒は勉強に、クラブ活動に打ち込み、先生も生徒一人ひとりに情熱を持って向き合っています。みんなに少しでも元気を与えたいと、1年4ヵ月ぶりにリングに上がる決心をしたのです。
 ジムがないので、スパーリングなど実戦的な練習はできません。串本のプールで泳いだり、近くの海岸を走ったり。サッカー部の顧問の先生がパンチングミットを持って練習を手伝ってくれたこともありました。大会前には軟式野球部や、担任する1年A組の生徒、先生方から寄せ書きした色紙をもらい、逆に元気づけられました。
 大会では決勝まで進みました。残念ながら、2ラウンドに相手選手の頭が鼻に当たり、鼻血が止まらずドクターストップで、目標にしていた優勝はできませんでした。しかし、学校では先生方が「練習環境にハンディがある中、すばらしい準優勝です」と職員会議で拍手をしてくれました。
 軟式野球部の選手にも変化がありました。部員が12人と少なく、これまではどこか自信がなさそうに見えるときがありましたが、目つきが変わってきたのです。うれしいことに、練習前や試合前に円陣を組んだときには「先生が頑張ったんやから、オレらもがんばるぞ!」と気合いを入れています。
 現在は7月の全国高校軟式野球選手権県大会に向け練習中です。目の色を変えて取り組む選手を見ていると、私の思いは、確かに子どもたちに伝わったと感じます。(串本町 木村雅紀)

写真=笑顔の木村さん(中央)