おはなし一輪
花づくり、思い出づくり
       
 この春から和歌山工業高校で教壇に立っています。私が教えるインテリア科は、今の2年生が卒業する2年後に廃止されることが決まっています。「寂しいが、一度しかない高校時代、思い出をつくろう」。担当する課題研究「環境コミュニティデザイン」と実習「環境デザイン」を選択している生徒に呼びかけ、一緒に中庭で花を育てています。
 以前、和歌山高校に勤めていたころ、荒れた中庭で生徒3人とチューリップを育てたことがあります。作業する私たちの姿を見て、他の生徒、教員、保護者と手伝ってくれる人が増えてゆきました。さらにこの取り組みを耳にした和歌山北や和歌山東、陵雲、向陽の各高校、私が異動した県立図書館など校外へと花づくりの輪が広がってゆきました。
 インテリア科の生徒にもそんな話をしながら取り組み始めました。中庭にはかつて園芸部のビニールハウスがありましたが、今はハウスの枠だけが残る状態。和歌山高校時代同様、雑草を抜き、土を整備するところからスタートしました。最初は「蚊がイヤ」などと言っていた生徒たちですが、いざやり始めるとノリが良く、ゲストティーチャーで来てくれている和歌山大学生も交え、麦わら帽子をかぶりながら作業に汗を流しています。5月にひまわりの種を植え、水や肥料、そして愛情を注ぎ続け、6月下旬から次々と開花。最も大きいものは3・5?にまで成長しています。
 この場所にシートを敷き、生徒と雑談しながら一緒に昼食をとったことも。こんな学園ものドラマでしかなさそうなふれあいに、実はちょっと憧れていたところもありました。この学校に来てまだ4カ月、こんなに早く生徒とうち解けることができ、生徒に対しては「ありがとう」の気持ちでいっぱいです。
 ひまわりの花言葉は 敬慕、あなたを見つめる。作業を通じ、生徒にはうやまい慕う心と、小さな積み重ねが大きな成果となって花開くことを知ってもらいたいと願っています。今後も四季折々の花を植えようと話していますが、私はそんな生徒たちを見つめ続けるつもりです。(和歌山市 村崎隆志)