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10年前、夫に先立たれ、また58歳の時に脳梗塞を患い、足が不自由になったこともあって、デイサービスに通っています。海を一望できる素晴らしい景色を眺めていると、短歌もすらすら浮かんできます。私の趣味は旅と短歌を詠むことです。ある日、そこの社長さんが私の元へ来て言いました。「川端さん、あの人あんまりみんなの輪に入ったりしないんよ。話相手になってあげて」。初対面の人とでもすぐに話せるので「私で良ければ」とその男性、岸本達さんに声をかけました。 いろいろな事について会話をするうち、私は岸本さんと意気投合。聞けば奥様を9年前に病気で亡くし、今は一人暮らしとのこと。毎日家に一人でいるとすることがないときは情緒不安定になることもあるが、ここで私と話をすると元気になると言ってくれました。エッセイなどをしたためるのが好きだという岸本さん。私の短歌にもアドバイスをしてくれたり。そのうち、1週間のうち2、3日デイサービスを利用する岸本さんに会えるのが楽しみになりました。 「人生に悔いが残らないように、充実した毎日を送りたい」と私たちは新たなスタートを切りました。お互いの子どもたちももちろん公認です。2人で旅行に出かけるのが楽しみの1つで、奥入瀬渓流や伊勢、京都五山送り火など日本各地を巡っています。足が不自由な私は車イスでの旅ですが、岸本さんや旅先でいろんな方にお世話になりながら楽しい時間を過ごせる事に、感謝の気持ちでいっぱいです。 中でも印象深いのは、この夏に訪れた利尻、礼文島です。日本最北の地に感動を覚えつつ、木が一本もないかわりに可憐に咲き誇る高山植物のお花畑で、私の髪をなびかせたさわやかな風の感覚は今もはっきりと残っています。こんな歌を詠みました。 「最北の 唄に魅せられ 本土より 風のつよさに きびしさ知りて」 2人で行くからこそ味わえる旅の醍醐味もある。お互い体に不自由はあるけど、心はまだまだ元気です。今の夢は、一緒に世界一周の船旅に出かけることです。 (紀の川市 川端婦紗子) 写真=この夏に訪れた礼文島の草原で |
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