おはなし一輪
教え子たちの思い
       
 中学校の教員になって35年。これまで西和、東和、日進、紀之川の4中学校に勤務しました。現在は最後の勤務先、日進中学校で教壇に立っています。来年(2008年)3月、定年を迎えるのです。
 これまでずっとバスケットボール部の指導をしてきました。教えた生徒は男女合わせて1000人を超えるでしょうか。スポーツを通じて自分の生き方を考えられる人間になってもらいたいと思いながら、時には厳しく指導してきました。
 定年を7カ月後に控えた今年8月、40歳前後になる東和中学時代の教え子と久々に会い、バスケの試合と食事会を行うことになっていました。しかし、以前から痛めていた右ひざの状態が思わしくなく、手術することになりました。マレーシアに赴任している教え子もその日は帰ってくるということで楽しみにしていたのですが、私抜きでの同窓会となりました。
 当日朝、突然、入院先の岸和田市内の病院に教え子14人が見舞いに来てくれました。みんなこの日のために作ったそろいのTシャツを着て。胸には当時の私のニックネームをもじって、「チーム・ベラ」とプリントされていました。病院から帰った後も、「今、試合が終わりました」「食事前にお風呂に入ります」と逐一メールで知らせてくれる教え子たち。ちょっとびっくりさせてやろうという思い、行けなかったお詫びの気持ちから、食事が始まったころに電話をかけました。彼らは驚きながらも1人ずつ電話に出てくれ、近況を教えてくれました。
 見舞いに来てくれた子はほかにもたくさんいました。退院後、家まで来て冷製パスタを作ってくれた日進中学OBでスペイン帰りの料理人、家業のみかん農家の作業を手伝ってくれた紀之川中学卒業生もいました。みんなの思いが素直にうれしかった。
 入院を経験し、自分は一人じゃないと改めて、心から実感できました。教え子たちはみなそれぞれの人生を歩んみ、それぞれ悩みや苦労があると思いますが、「みんな一人じゃない。支えてくれる家族が、仲間がいるんだよ---感謝を忘れずに」という言葉を贈りたいと思います。(和歌山市 瀬藤栄津子)

写真=教え子たちの思いに感謝