城下町の風景2〜カラーでよむ『紀伊国英書図絵』

江戸時代のマニュファクチュア ②紋羽織屋

 上の絵は、和歌川東側の新町にある新通一丁目の雑賀屋の店先です。雑賀屋は、宝暦7年(1757)から足袋を製造販売していました。
 絵図には、紋羽織という織物の作業工程が画かれています。虫子窓の商家一階奥では女性が糸車で綿を糸繰りし、手前の「紋羽織間」では女性が杼(ひ)を片手に高機(たかばた)で布を織り、後ろの「紋羽張間」では店先に布を張って、干しています。
 左下の「紋羽かく所」では男性が布の毛をかき出しています。毛出しは最初、松葉をくくって用いていましたが、ここでは針を付けた櫛状のものを使っています。右奥の店では、框(かまち)に片膝をつき煙草を吸う男の横で、犬が起毛の様子をじっと見ています。約200年前の城下町和歌山では分業と協業による手工業が発達していたことがわかります。
 右端手前の板葺建物は、壁に「御髪月代(おぐしさかやき)」と記された床屋です。中ではヒゲを剃っています。通りには、ふり売りの姿が見え、手前の商家の床几(しょうぎ)では子供が犬と遊んでいます。絵図は当時の町の様子をよく表しています。
 笠をかぶった女性の三味線に合わせて人形遣いが人形を操る大道芸に、2人連れの女性や商人が振り返り、子供たちが集まってきました。(和歌山市立博物館総括学芸員 額田雅裕)

画=西村中和、彩色=芝田浩子

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 江戸時代の地誌書「紀伊国名所図会」のモノクロの絵にカラーで色をつけ、当時の暮らしを解説する『城下町の風景』の第2弾。水曜号に掲載しています。次回は2月26日号です。

ニュース和歌山2014年2月12日号掲載