一筆が拓く書の世界

 和歌山市、岩出市に3教室を構える「煌陽会」を主宰する田端弓子さん(54)が6日、書画本『えがおのお花が咲いたよ』を出版した。指導を始めて30年。全国コンクールで入賞する生徒を輩出する一方で、不要紙などを活用したリサイクル展とイベントで大筆をふるうパフォーマンスに力を入れる。書道の可能性を追究し続ける田端さんに、その魅力を尋ねた。 (文中敬称略)

紀ら星 womman
書道教室「煌陽(こうよう)会」主宰
田端弓子さん
写真

田端弓子…1959年、和歌山市生まれ。書道教室「煌陽会」主宰。読売書道展で特選を2回受賞。和歌山市児童文化奨励賞選考委員、県展招待作家。DVD『美しい和歌山』の題字など執筆。

練習で自信を

──書道との出合いは。

田端 祖父が普段から筆を使う人で、3歳のころは古い筆で地面に水で文字を書いて遊んでいました。幼稚園から教室へ通い、小学生の時は既に習字の先生をめざしていましたね。放課後から翌日の昼まで寝ずに書き続けたり、異なる漢字千文字を書く「千字文」に挑戦したり、書道に情熱を注いだ青春時代でした。

──煌陽会は。

田端 大学進学で県外へ出ましたが、書道教諭の免許をとって帰郷しました。高校で非常勤講師をしていた30年前、煌陽会を立ち上げました。教室に弁当を2つ持参して朝から晩まで書く子や、年間1万枚以上練習する子もいます。そういった経験は本人の自信になり、困難を乗り越えてゆく強さになります。全国コンクールでも毎年、文部科学大臣賞や多くの賞を受けています。

形にとらわれない

──教室の生徒による作品展はユニークです。

田端 3教室に、子どもから大人まで130人が通っています。練習ではたくさんの紙が廃棄されます。その紙を洗濯機で溶かし、再び紙に戻してオブジェを作ります。このリサイクル展を始めた1997年はまだまだ使い捨ての時代でしたから、とても斬新でした。牛乳パックや食品トレーを使った展示会を3年ごとに開いています。

──イベントではパフォーマンスを披露します。

田端 書道は個人で取り組むので、生徒と一丸となる機会を作りたかった。3回目の展示会でロール紙を用意し、歌に合わせて一人一文字ずつ書いたのが始まりです。時間内にみんなで協力して作品を仕上げなければならないので、とてもスリリング。大きく書けた時の達成感と仲間との連帯感が味わえ、年齢を越えて仲良くなります。

初の書画本出版

──今月、初めての本を出版しましたね。

田端 もっと書道の楽しさを伝えたいと思い、昨秋、文字に顔を描いてみました。描き始めると次々と顔が浮かび、あっという間に300枚書き上げました。作品を見ていると、ほほえんでいるようで、どんなに疲れていても元気で笑顔になれました。その顔を「ハッピーちゃん」と名付け、本にしようと決めました。

──どんな内容ですか。

田端 「愛」「夢」「幸」などの文字や、唱歌の歌詞にハッピーちゃんが登場します。イラストも添えているので楽しんで見てもらえると思います。上手に書かれた文字よりも、字の形に柔らかさや力強さが表れるので、漢字の意味がより伝わってきます。

──今後は。

田端 ハッピーちゃんの誕生で、30年間書いてきた自分の字に少し変化がでてきました。書道の可能性はまだまだ広い。書を大切に、人を大切にしながら、良いと思うことをいっぱい見つけ、形にしてゆきたいですね。

◇   ◇

 A5判、64ページ。千円。WAY、宮脇書店、宇治書店、荒尾成文堂ほかで取り扱い。

ニュース和歌山2014年3月26日号掲載

別ウインドウで開かれた方は、おそれいりますが、ブラウザの閉じるボタンをお使い下さい。