和歌山のお産は今(9)
あなたのお産を守るため
粉川レディスクリニック院長
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粉川 信義
「安産で元気な赤ちゃんを産みたい!」。誰もがそう願っていることでしょう。妊婦健診のみを担当する婦人科診療所、健診とローリスクの分娩に適した産科診療所、ハイリスク妊娠の治療が可能な総合病院。各施設が協力し、和歌山のお産を守っています。2006年の和歌山市内での分娩約4000件中、30%は総合病院、70%は産科診療所などで扱われています。
当院では、ハイリスク妊娠は適切な時期に総合病院へ紹介できるよう注意し、母子の安全を見守りながら、快適で自然なお産をめざしています。自然分娩が困難でも当院での分娩を希望される方も多く、産科医師2名と麻酔科医師が無痛分娩や緊急帝王切開に備える体制で診療しています。産科診療所では軽度の異常分娩なら自院で対応し、総合病院の負担を減らし、救急や重症例を迅速に治療できるよう協力しています。
近年、産科医師や助産師を含む関係者だけの努力や犠牲的奉仕では周産期医療を維持できなくなってきました。皆様の認識の変化と協力無くしては、システムの崩壊は避けられません。分娩は何時起こるかわからない救急医療です。昼夜を問わず診療に応じる覚悟で臨んでいますが、これはあくまで緊急時や突発的な事態に備えてのことです。
もちろん多くの方々は妊娠と真摯に向き合い、医療現場との良好な信頼関係を築いています。しかし、24時間営業のコンビニやローンでの高価な買い物など自分の都合に合わせて何でもできる便利な時代に慣れてしまい、同じ感覚で時間外や救急外来を利用できると勘違いしている方々がいることも事実です。ルールを守り互いの尊厳を認め合わなければ、本当の信頼関係は築けません。
妊婦様は皆、安心して医療を受ける権利があります。と同時に、元気な赤ちゃんを産み育てるための義務を負っていることを忘れないでください。未管理妊娠や医療費未払いなど、義務を放棄し権利だけを主張しても安産は保証されません。定期健診を受け、リスクを未然に防ぐ努力が安産への第一歩です。
あなたがお産に際して満足のいく選択ができるよう、もしもの時に適切な高度医療が受けられるよう、次の世代に安心・安全なお産の文化を残していけるよう、地域全体のご理解と努力で周産期医療システムを支えていくことが必要となっています。
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