おしえて! マイドクター 
2009年12月12日号より
質問内容
回答者
 足の付け根が腫れてきて「そけいヘルニア」と言われました。 福外科病院 福 昭人副院長
 近視を治すコンタクトレンズが認可されたと聞きました。
吉村眼科・吉村 利規院長
 肛門の横がときどきはれて、膿が出ます。大丈夫ですか?
楽クリニック藤田 定則院長
 頻繁にこむらがえりになり、痛くてたまりません。予防法は? 貴志川紀和病院工藤 孝信先生
 くしゃみや鼻水がとまりません。冬なのに花粉症でしょうか。 おく耳鼻咽喉科奥 雅哉院長
 「プラセンタ」という言葉を近ごろよく聞きますが、何ですか? 上中クリニック上中 博之院長
 記憶に関わる病気ではないかと悩んでいます。 今村病院佐藤 昌子先生
       
        
Q 足の付け根が腫れてきて「そけいヘルニア」と言われました。
回答者
大腸肛門外科・
消化器外科
福外科病院
大腸肛門病専門医
消化器内視鏡専門医
福 昭人副院長

A そけいヘルニアは、一般に「脱腸」と呼ばれる良性の疾患です。成人の場合、小児のヘルニアと異なり、自然治癒はしません。
 原因は、加齢と共に、下腹部から足の付け根(そけい部)の組織が弱くなり、その部分からお腹の中にある腹膜が袋状に飛び出てくることによって起こります。放置すると腫れが急に硬く痛くなり、指で押さえても戻らず、緊急手術が必要となります。
 薬で治すことができないため、待機的に手術を選択します。国内の手術件数は年間約15万件で、患者の8割は40歳以上の男性です。
 従来法はヘルニアの出口を糸で縫合してふさぐ方法でしたが、痛みが強いため、ポリプロリン製のメッシュ(柔らかい医療用の布)で傷に緊張をかけない術式がとられます。この方法では手術時間が短く、再発率も低くなります。
 医療費用節約のため日帰り手術(短期入院も含む)も可能ですが、
(1)中等度以上の肥満の方 
(2)陰のうまで腫れている方
(3)痛みに強くない方
(4)抗凝固剤を内服している方
などは5〜7日間程の入院加療が望ましいことがあります。専門医とよくご相談下さい。

      
Q 近視を治すコンタクトレンズが認可されたと聞きました。
回答者
眼 科

吉村眼科
吉村 利規院長

A 近視の人は通常、視力補正つまり遠くを快適に見るためにコンタクトレンズを装用します。
 それとは別の発想が「オルソケラトロジー」です。これは、特殊なハードコンタクトレンズを装用して目の表面の角膜の形を変える近視の治療法で、レンズを外したときに裸眼視力を回復させる技術です。このレンズは寝ている間に装用し、朝起きたときに外して、日中は裸眼で過ごします。すでに諸外国では処方されており、日本国内でも大都市において、個人輸入で提供している施設が何カ所かありました。
 今回、国内初の認可を受けたのは「オルソ(R)-K」というオルソケラトロジー用レンズです。これを処方できるのは、専門の講習を受講した眼科専門医に限られ、検査、レンズ代を含めて自由診療で取り扱われます。ただし、レーシックなどの角膜矯正手術と異なり、レンズの装用を中止すると、元の屈折状態に可逆的に戻ります。
 眼科専門医のもとで適切な検査を受け、適応との結果が出れば、オーダーメイドのレンズを作成・装用します。ほぼ1週間で予定した度数の矯正となります。現在のガイドラインでは20歳以上の4Dまでの近視が適応です。
 
           
Q 肛門の横がときどきはれて、膿が出ます。大丈夫ですか?
回答者
肛門外科

楽クリニック
藤田 定則院長

A よく下痢をする人のおしりのきわが腫れて痛くなったり、膿が出ることがあります。この症状は、肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)といって、肛門のまわりに膿がたまる病気です。この病気を繰り返すと、いつも少しずつ膿がでるようになります。これが「痔ろう」という病気です。
 痔ろうは、放置しておくとさらに広がり、いつのまにか、膿の出る穴がいくつもできたりします。これは複雑痔ろうといわれる状態で、次第におしりの変形をきたす場合もあります。15年から20年ほど放っておくと、痔ろう癌になることもあります。
 痔ろうはいぼ痔や切れ痔と異なり、手術でなければほとんどは治りません。しかし、早期であればあるほど、大きく切らずに治療が出来ます。
 いったん痔ろうが完成してしまうと、たまに膿が下着につく程度で、痛みもなく過ごせるようになります。そうすると、ついついそのままにしてしまう方は非常に多いです。
 痔ろうは、病気がすすむ前に、最初の一歩として、外科の先生への相談が大切です。年末の忙しい時期、体の疲れたときに症状が悪くなります。飲みすぎに注意し、十分な休養を心がけてください。
     
Q 頻繁にこむらがえりになり、痛くてたまりません。予防法は?
回答者
リハビリテーション科

貴志川紀和病院
理学療法士
工藤 孝信先生

A 「こむら」とはふくらはぎのことで、ふくらはぎの筋肉が痙攣(けいれん)することを「こむらがえり」といいます。
 ふくらはぎの筋肉を急激に使った後、疲労により老廃物質が蓄積し、伸びたり縮んだりする弾力性が障害されて縮んだままの状態になってしまうと、この筋肉の痙攣が生じます。
 筋肉痙攣は、夏は脱水が、冬は冷えることが原因といわれています。予防には、夏場は水分補給が有効で、スポーツドリンクが適しています。日頃より、野菜や果物で十分なミネラルやカリウムをとっておくのも良いでしょう。冬場は足を冷やさないようにします。就眠時は足を動かさないため、血液の循環が悪くなります。さらに明け方は冷えるので、痙攣が起こりやすくなります。足全体を保温するよう心がけましょう。
 これらの点に注意しながら、筋力をつけることも大切です。筋力がつくと筋肉の血液循環がよくなります。血液循環には柔軟性も重要で、筋肉や腱のストレッチが欠かせません。またウォーキングは、筋力をつけ血液の循環をよくするには、非常に効果的な運動です。
 筋肉の痙攣が起こったら、筋肉を蒸しタオルやお風呂で温めたり、痙攣した筋肉のストレッチをするとおさまります。
        
Q くしゃみや鼻水がとまりません。冬なのに花粉症でしょうか。
回答者
耳鼻・咽喉科
おく耳鼻咽喉科
奥 雅哉院長
A 花粉症は、植物の花が原因となってくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状が起こる病気です。患者さんは人口の約10%〜15%いるといわれ、30歳代までの比較的若い世代に多く見られます。花粉症というと、春に発症する病気と考えがちですが、アレルギーの原因となる花粉は年中飛散しています。
 現在は花粉症を完全に治す薬はなく、症状を軽くするために内服薬や点鼻薬などが使われます。内服薬としてよく用いられるのが抗ヒスタミン薬で、アレルギー反応を抑える効果があります。
 「花粉症かな?」と思ったら、まずは専門医に原因を調べてもらいましょう。正しい診断を受けなければ、適切な治療は始められません。副作用などが心配な場合は気軽に相談を。一人ひとりにあった薬の処方で、症状が軽減します。
 ただし、花粉症の治療は「続けること」が肝心です。症状が治まってきたからと言って通院を止めたりせず、専門医と二人三脚で根気よく治すよう心がけてください。あまり神経質になる必要はありませんが、マスクやメガネを着用したり、うがいと洗顔を励行するなど、日常生活でのセルフケアも大切です。
     
Q 「プラセンタ」という言葉を近ごろよく聞きますが、何ですか?
回答者
消化器(内科・外科)

上中クリニック
上中 博之院長

A 最近話題のプラセンタ(Placenta)は、英語で「胎盤」を意味します。歴史的に、胎盤から作った生薬はマリーアントワネットや楊貴妃、クレオパトラが若さを保つために愛用していたと言われています。
 胎盤はタンパク質、脂質、糖質の3大栄養素をはじめ、ミネラル、ビタミン、酵素、核酸など多彩な栄養素を成分とし、肝細胞増殖因子、神経細胞増殖因子、上皮細胞増殖因子、肝実質細胞をはじめ、諸組織の細胞の増殖・神経細胞の増殖因子、免疫力を向上させる成長因子など、様々な成長因子が含まれています。人間以外の哺乳動物では、出産後胎盤を母親が食べてしまいますね。これは、出産で失った体力の回復や体のバランスを取り戻すために、胎盤の栄養素が必要だからと知っているからです。
 胎盤を原料として製剤化した物がプラセンタの注射や内服薬です。注射薬は、人の胎盤由来の物で、内服薬は、最近では、豚の胎盤由来の物が主流となっています。 注射薬は一部保険適応もあり、「薬事法」と「安全な血液製剤の安定供給の確保に関する法律」のなかで生物由来製品及び特定生物由来製品が指定されているほか、生物由来原料基準により安全に管理されています。
     
Q 記憶に関わる病気ではないかと悩んでいます

 48歳の女性です。最近、朝、家を出た後で、玄関に鍵をかけたかどうか思い出せず、気になって戻ることが度々あります。記憶に関する病気ではないかと心配しています。

回答者
脳神経外科

今村病院
作業療法士
佐藤 昌子先生

A いったん家を出た後で、戸締まりや火の消し忘れがないか気になり、確認に戻った経験をお持ちの方は案外たくさんいらっしゃると思います。同時に、実際に戻ってみると、鍵のかけ忘れも火の消し忘れもなく、胸をなで下ろしたのではないでしょうか。
 さて、私たちが活動する中では、見るもの、聞くもの、あるいは味やにおい、触った感触などが感覚情報として取り込まれています。これらの情報は、活動をスムーズに行うために一時的な記憶として数秒間保たれ、次々と入れ替わっていきます。さらに、一時的な記憶として保存されている間に、繰り返された情報は、記憶として定着していきます。
 ただし、注意や関心が十分向けられていない事柄を記憶することはできません。

一つひとつの行動に20秒以上かけると記憶の定着に効果的

 ご質問では、「記憶に関わる病気ではないかと心配している」とのことですが、出かける前の慌ただしい時間、ご自身の身支度や片付け、ゴミ出し、洗濯、家族の世話など、やっておかなければならないことが山ほどあり、一度にいくつもの事柄をこなしている姿が想像されます。
 このような中では、鍵をかけたり、コンロの火を消すなどの「重要」ではあっても、操作としては「簡単な」行為に十分に注意や関心が払われていない場合があります。なぜなら、鍵をかける・火を消すなど、日頃から習慣として慣れた行為は、とくに複雑な手順を要しませんし、ほんの数秒で済んでしまうからです。また、これらは、いわゆる「体が覚えている記憶」によって、特に注意を払わずに、他事を考えながらでも、あるいは何か話しながらでも遂行が可能です。従って、そのことにのみ注意が払われていないため、記憶として定着しにくく、後で「記憶にない」というようなことが起こりえるのです。
 この状況を回避するためには、一つひとつの行為に確認の時間を含め20秒以上かけると、記憶の定着によいとされています。出かけるまでの時間と気持ちにゆとりを持てば、改善できるかも知れません。
 なお、ご質問に加えて、あさ食べたものを思い出せないとか、食べたかどうかも定かではないというようなことが度重なるようでしたら、病気が隠れていることも考えられます。脳神経外科医など専門医に相談されてみてはいかがでしょう。

問い合わせ電話番号
福外科病院 073-445-3101
上中クリニック 073-475-5030
楽健康友の会 073-433-5000
今村病院 073-425-3271
貴志川紀和病院 0736-64-0061
吉村眼科 073-432-0314
おく耳鼻咽喉科 0736-69-1733
            
※ニュース和歌山本紙での、次回掲載は2010年1月16日土曜日の予定です。お楽しみに!