おしえて! マイドクター 
2010年1月16日号より
質問内容
回答者
 排便時に痔が出ます。手で押さえると戻りますが… 治療法は? 福外科病院 福 昭人副院長
 花粉症・アレルギー性鼻炎に効果的な「アルゴンプラズマ療法」って? おく耳鼻咽喉科奥 雅哉院長
 乳房温存手術とは、どんな手術ですか? 傷跡の大きさは? 古梅記念病院・鈴間 孝臣先生
 ソフトコンタクトレンズの、適切な消毒方法を教えて下さい。 吉村眼科・吉村 利規院長
 「歯科用CT」って何ですか? どんな風に使われているの? しが歯科医院・志賀 弘明院長
 寒い季節は脳の病気にかかりやすい、というのは本当ですか? きのしたクリニック 木下 泰伸院長
 寒い季節は、おしりの調子が憂うつな毎日です… 楽クリニック藤田 定則院長
       
        
Q 排便時に痔が出ます。手で押さえると戻りますが… 治療法は?
回答者
大腸肛門外科・
消化器外科
福外科病院
大腸肛門病専門医
消化器内視鏡専門医
福 昭人副院長

A 痔核は、肛門の2〜3センチ奥にできる内痔核と、肛門出口にできる外痔核に分類されます。いずれも肛門周囲の静脈がうっ滞して起こる静脈瘤で、一般的によく見られる病気です。
 ご相談のケースですと、手で押さえると元に戻ることから、内痔核による脱肛が考えられます。鑑別診断として、肛門ポリープや直腸脱といった病気もあります。
 内痔核の症状は出血と脱出ですが、ほかに違和感、残便感、掻痒感、貧血もあります。手術適応は「(1)出血を繰り返して貧血の原因となる」「(2)脱肛」のいずれかです。
 手術方法は、以前は外科的切除が基本でしたが、最近では硬化剤(ジオン)を痔核に注射する方法が、痔核治療の選択肢の一つとして加えられました。
 治療成績は、1カ月後の脱出消失率は手術で99%、硬化療法で94%。排便時出血は手術で79%、硬化療法で93%です。また、1年後の再発率は、手術で2%未満、硬化療法で16%といわれています。一方、入院期間は外科的切除で5〜10日間、硬化療法で0〜3日間以内が平均的です。
 治療に外科的切除を選択するか、硬化療法を選択するかは、まず専門医とよくご相談下さい。

      
Q 花粉症・アレルギー性鼻炎に効果的な「アルゴンプラズマ療法」って?
回答者
耳鼻・咽喉科
おく耳鼻咽喉科
奥 雅哉院長
A アレルギー性鼻炎とは、鼻の中の粘膜に花粉やハウスダストなど、アレルギーの原因となる物質(抗原)が付着することでアレルギー反応が起こる病気です。具体的な症状は発作的なくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどで、日常生活に影響を及ぼします。患者さんは年々増加の一途をたどり、人口の約10%〜15%いると言われています。治療は、抗アレルギー薬の投与が一般的です。
 一方、アレルギー性鼻炎の最新療法「アルゴンプラズマ療法」とは、鼻の粘膜にアルゴンビームを当てることにより、鼻の粘膜をアレルギー反応の起こしにくい粘膜に変性させるもので、特に鼻づまりに効果があると考えられています。治療中に痛みや出血はほとんどなく、処置時間が両側でも6、7分と短いのが特徴です。手術は内視鏡下で行い、入院せずにすむ日帰り手術が可能で、直後から日常生活が送れます。健康保険が適用され、アルゴンプラズマ費用として自己負担5400円が必要です(初診料、再診料、検査料等別途加算)。
 ただし、プラズマビームを当てて変性した部位の粘膜が再生するため、持続効果は6カ月〜2年間程度となります。効果が弱くなったら再度治療を受けると良いでしょう。
 
           
Q 乳房温存手術とは、どんな手術ですか? 傷跡の大きさは?
回答者
乳腺外科
古梅記念病院
鈴間 孝臣先生
A 「乳房温存手術」とは、簡単に言いますと、乳頭や乳房をできる限り残しながら乳がんを切除する手術です。
 乳がんの外科手術は、かつては乳房切除術や内胸、鎖骨上リンパ節郭清など、大きく切除する方向にありました。しかし、生存率の向上という点ではあまり効果がみられなかったために、胸筋温存乳房切除術を経て、乳房温存術が始まりました。さらに、近年では、センチネルリンパ節生検によって腋窩リンパ節郭清(リンパ節を手術で取り除くこと)も省略されるようになってきており、このように、乳がんの外科手術は縮小される傾向にあります。和歌山でも、乳房温存手術やセンチネルリンパ節生検を積極的に執り行う医院が増えてきました。
 手術後の傷跡は、病巣の大きさやできている場所により異なりますが、乳房温存手術(部分切除)で腋窩リンパ節郭清を行わない場合、約5〜10センチくらいです。どうしても手術後の傷跡が気になるのなら、形成外科の先生に診て頂き、傷跡を縫直すことや乳房再建術も可能です。ただし、治療を優先するケースもあります。
 手術の方法や術後の傷跡等は、病巣によって一人ひとり異なります。主治医と相談することが最も重要となります。
     
Q ソフトコンタクトレンズの、適切な消毒方法を教えて下さい。
回答者
眼 科
吉村眼科
吉村 利規院長
A ワンデータイプのレンズははずしたら破棄するので消毒は不要ですが、従来型や定期交換型のレンズは、はずした後保存し、翌日、再使用します。はずした後の手入れが不十分だとレンズに汚れが残り、表面に付着した雑菌が原因となって角膜の表面が傷つき、細菌による感染を起こす危険性があります。したがって、レンズは毎日丁寧に汚れを取り、消毒する必要があります。
 先日、独立行政法人国民生活センターから、ソフトコンタクトレンズ用消毒剤として広く使われているMPSタイプでは、アカントアメーバに対する消毒性能が弱いことが報告されました。適切な方法でケアしなければ、角膜感染症を起こす危険性があることも、明らかになりました。 レンズを取り扱うときは、手指を石けんできれいに洗い、片面につき20〜30回程度、十分にこすり洗いします。レンズケースも毎日の洗浄、乾燥、適切な保存が不可欠で、定期的に新しいケースに交換するよう心がけましょう。具体的な手順は、消毒剤の添付文書や外箱に記載されているのでよく読み、厳守します。少しでも異常があれば眼科医を受診し、また、気になる点がなくても、定期検査を受けることをおすすめします。
        
Q 「歯科用CT」って何ですか? どんな風に使われているの?
回答者
歯科
しが歯科医院
志賀 弘明院長
A 「歯科用CT」とは字の通り、歯科に特化したCT装置のことです。
 口の中の病気や状態は、目で確認できないことがほとんどですが、歯科用CTを使うと三次元の立体画像が得られます。よって、従来のレントゲン撮影では見えなかった症状や位置を視認でき、的確な治療方針を示すことができます。
 今では歯科用CTは、様々な歯科治療の現場で用いられています。例えばインプラント治療。術前に骨の厚みや高さ、形態などを正確に把握できるので、切開や剥離をしない手術や増骨術の診断が即日に行えます。矯正治療では、術前検査で得たあごの骨の詳細な情報をもとに、効果的な治療計画を立案します。
 病気に対しても歯科用CTは有用です。歯周病では、歯の周囲の骨の形態が一目瞭然で、どの歯が保存可能か判別できます。親知らずを抜く場合でも、歯と神経の位置関係が分かるので、危険な抜歯を回避できます。 しかし、歯科用CTは非常に高価な機器であるため、導入している一般開業医はごくわずかなのが現状です。かかりつけの医院からの紹介で、撮影依頼を受け付けることもありますので、一度ご相談下さい。
     
Q 寒い季節は脳の病気にかかりやすい、というのは本当ですか?
回答者
脳神経外科
きのしたクリニック
木下 泰伸院長
A 脳の血管の障害で起こる病気には、「高血圧性脳出血」「くも膜下出血」「脳梗塞」があります。とくに脳出血は、血圧の上昇が原因となり、冬場に多く発症します。気温が下がると、血管が収縮し、血圧が上がりがちになります。家庭でも日頃から血圧測定をするなど健康管理が大切です。
 また、暖かい部屋から急に寒い所に出た時など、気温の変化も血圧を上げる要因になります。とくにトイレや風呂あがりの脱衣所、玄関先などは気温差があり、脳出血を起こしやすいといえます。このほか、塩分のとりすぎや、飲酒や肥満、たばこ、ストレスにも要注意です。
 さらに、カゼなどの体調の悪化から脱水状態になり、脳梗塞を起こすこともあります。栄養、睡眠、休息を十分にとり、防寒にも気をつけましょう。手足のしびれ、脱力、頭痛など、異変を感じたら、ただちに専門医を受診してください。脳梗塞は午前中、とくに起床時における発病が多いことが知られています。脳の病気はできるだけ早く初期治療を始めることが重要です。 家庭においては、各部屋の温度差をできるだけ均一にする、食事に留意する、適度な運動を心がけるなど、身近な予防策が効果的です。
     
Q 寒い季節は、おしりの調子が憂うつな毎日です…

 60歳の主婦です。初産のときに始めて痔を患い、2人目の出産後にさらに悪化。市販のお薬でだましだまし過ごしています。寒くなって便秘がひどくなり、おしりの調子も悪くなってきました。いぼがでたり、痛みがあったり、血がでることも。診察をうけるのも恥ずかしくて…。

回答者
肛門外科
楽クリニック
藤田 定則院長
A 出産時に痔になってしまった方の多くは、育児に忙しく、お薬を使うのも気が引けて、そのままになってしまうようです。子どもが小さいために、思うように治療ができないまま、第二子を妊娠→さらに悪化することが多いです。最近では、一人目の出産時に痔で大変な思いをした方は、二人目の妊娠前に、痔の日帰り手術を受ける方が増えてきました。
 市販のお薬も非常に効果はありますが、2週間たっても改善しないときには、医師の診察を受けるほうがよいでしょう。
 ご相談の方は便秘がちだとのことですが、数日に一回の排便習慣が長年続くとおしりが壊れてしまいます。一日便を出さないと、便は硬くなり、切れ痔やいぼ痔の原因になります。排便時にいきんで、5分以上トイレに座る習慣でも、おしりは壊れます。肛門の直前まで便がきても平気になり、大量の便で腸が伸びてしまった方もいます。
 長年の悪い習慣で壊れたおしりを治すには、時間がかかります。毎日しっかり便がでるよう、かかりつけのお医者さんにお薬を出してもらうのが一番です。2000年も前から、なくなることなく続いている治療法「浣腸」もいい方法です。下剤はクセになることがありますが、浣腸はクセにはなりません。毎日しっかり排便する習慣をつけるには最適です。

入院の必要ない日帰り手術も可能

 おしりの調子が悪くなると、いぼ痔がでたり、腸がでたり、血や痛みが出ます。いぼ痔のほとんどは、平成17年に登場した、新薬を痔に注射する日帰り手術で治ります。すでに全国で約10万人の方が治療を受けられています。排便時に腸が出る方は、縫い縮めて肛門の中に戻す手術があります。出血と痛みは、お薬と便秘の改善で治りますが、残念ながら切る手術が必要な方もおられます。
 一方、おしりの病気の手術の多くは、日常生活のリズムを変えることなく、早期に家事、仕事への復帰が可能です。入院に伴うわずらわしさがなく、入院費が不要で、体への負担が少ない日帰り手術で治療が行えるようになりました。とんでもなく悪くなって手術や入院が必要となる前に、外科か肛門外科での診察を考えてください。
 恥ずかしくて受診できない方には、おしりの部分だけ穴が開いたパンツで診察を受けられる医院や女医さんのクリニックもあります。悪くなったおしりを放っておかないでください。

問い合わせ電話番号
福外科病院 073-445-3101
おく耳鼻咽喉科 0736-69-1733
古梅記念病院 073-431-0351
吉村眼科 073-432-0314
しが歯科医院 072-492-6480
きのしたクリニック 073-465-3777
楽健康友の会 073-433-5000
            
※ニュース和歌山本紙での、次回掲載は2010年2月20日土曜日の予定です。お楽しみに!