おしえて! マイドクター 
2010年4月17日号より
質問内容
回答者
 慢性的な腰痛に悩んでいます… 今村病院理学療法士上田 智也先生
 痔核はどんな病気ですか。手術以外に治療法はないのですか? 福外科病院福 昭人副院長
 3歳の子どもが「滲出性中耳炎で手術が必要」と診断されました。 木下耳鼻いんこう科・木下 和也院長
 今年の花粉症の季節は楽でした。もう予防しなくて大丈夫ですか。 吉村眼科・吉村 利規院長
 インプラントで骨量が少ないと移植を行うと聞きましたが… さのデンタルクリニック佐野 善啓院長
 足の血管がコブのように浮き出ています。下肢静脈瘤ですか? 楽クリニック藤田 定則院長
 慢性腎臓病です。食事療法で透析になるのを防げますか? 紀泉KDクリニック大谷 晴久先生
       
        
Q 慢性的な腰痛に悩んでいます…

72歳の男性です。長年の腰痛に悩んでいます。マッサージをしてもらうと、その時は痛みが楽になるのですが、3〜4日するとまた腰が痛くなってきます。慢性的な腰痛を治す方法はないのでしょうか?

回答者
リハビリテ
ーション科
今村病院
理学療法士
上田 智也先生

A 腰痛には、筋・筋膜性腰痛、腰椎椎間板ヘルニア、変形性腰椎症など様々な種類があります。今回のご質問では、『マッサージをすると楽になる』とのお話から、腰痛の中で最も患者数の多い筋・筋膜性腰痛、つまり“一般的な腰痛症”ではないかと考えられます。
 筋・筋膜性腰痛とは、不良な姿勢や、腰部への負担となる体の使い方により、腰部の筋肉が疲労し、痛みを生じる腰痛を指します。不良な姿勢とは、いわゆる「猫背」や「反り腰」など、腰部の筋肉に負担がかかりやすい姿勢を持続的にとることで、腰部の筋肉に痛みを引き起こします。不良な姿勢の主な原因として、足部や股関節部などの腰部以外の関節が、筋力低下等が原因で機能障害を起こし、テレビなどでよくいわれている「体の歪み」をつくり、不良な姿勢になったり、腰部とともに体を支える腹部の筋肉の筋力が低下することで、不良な姿勢になると考えられます。
 また、姿勢からの影響だけではなく、体の使い方から腰痛を発症する場合もあります。仕事や日常生活動作、家事動作を行う際に、腰部に対して負担のかかる体の使い方を反復していると、腰部に疲労がたまり、腰痛の原因となる場合があります。よって、治療としては、「不良な姿勢」もしくは「体の使い方」の要因を見つけ出し、そこに対して治療をする必要があります。

腰痛の根本原因に対しての治療が重要

 慢性的に腰痛を抱えている方からよく聞くのが『マッサージをすると楽になるが、3〜4日でまた痛くなる』という声です。疲労している腰部の筋肉に対して治療することはもちろん大切ですが、足部や股関節部など腰部以外の関節の機能障害による「体の歪み」が問題である場合は、体の歪みの原因に対して治療しなければなりませんし、腹部の筋肉の筋力低下が問題ならば、筋肉を使えるようにしなければいけません。また、間違った体の使い方をしていれば、上手な体の動かし方を身につけないと、腰痛治療は遠回りになるでしょう。慢性腰痛を抱えている方は、ただ腰部の筋肉をマッサージしているだけでは、一時的に楽になっても再び腰痛を発症し、その場限りの対処療法となってしまう恐れがあります。根本的な原因に対して治療していかなければ、慢性腰痛は治りにくいでしょう。
 ここに挙げた通り、腰痛には様々な種類があり、個々に腰痛の原因が変わってくるため、治療方法もそれぞれに異なってきます。腰痛に悩まされている方はぜひ、専門医へご相談下さい。

      
Q 痔核はどんな病気ですか。手術以外に治療法はないのですか?
回答者
大腸肛門外科・
消化器外科

福外科病院
大腸肛門病専門医
消化器内視鏡専門医
福 昭人副院長
A 痔核は、肛門の組織の血流が悪くなってうっ血したり、血管が破綻して出血し、血管と結合組織が肛門の中に出てくる病気です。
 特に内痔核は、
▽1度=排便時に出血するが脱肛しないもの
▽2度=排便時に脱肛するが自然に戻るもの
▽3度=以前のように指を使わないと、元に戻らないもの
▽4度=排便に関係なく脱出しているもの
に分類されます。
 治療法は、「1度〜2度」では、薬物療法や、痔核に薬剤を注射して止血する硬化療法があります。「2度〜3度」は、痔核の根元を器具を使ってしばり、壊死させて落とす輪ゴム結さつ術。「3度〜4度」は、痔核に薬剤を注射してかたく縮小させ、粘膜に癒着、固定させるアルタ(ジオン)療法や、痔核を外科的に切除する根治術があります。
 このように痔核の治療は、外科的切除ばかりでなく、治療に痛みを伴わない方法が多くなっています。
 しかし、入院の必要性の有無や期間、再発などは症例により異なるため、診察を受けていただいた上で決定することが大切です。まずは専門医にお気軽におたずね下さい。
 
           
Q 3歳の子どもが「滲出性中耳炎で手術が必要」と診断されました。
回答者
耳鼻咽喉科
木下耳鼻いんこう科
木下 和也院長
A 滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)は、修学前の子どもに非常に多く見られる病気です。鼓膜の内側=中耳腔(ちゅうじくう)に液体が溜まり、痛みがないのが特徴です。
 薬や、鼻の治療で治ることもありますが、治りにくい場合は、局所麻酔で鼓膜切開を行って、溜まっている液を抜きます。鼓膜の内側に液体が溜まると聴力が低下します。高度な難聴でないとはいえ、はっきりと聞き取りにくくなるため、言葉を覚える大切な時期の発達に悪影響を与えます。鼓膜切開をしても、穴は数日で閉じます。その後、また貯留液がたまる場合は、鼓膜チューブ挿入術を行います。鼓膜切開して開いた穴が閉じないように、シリコンでできたチューブを鼓膜に留置します。すると、中耳腔に貯留液が溜まらず、聞こえがよくなっていきます。
 留置したチューブは、半年から2年で、自然に脱落するのを待ちます。6才以上なら、チューブ挿入術も局所麻酔で行えますが、6才以下では全身麻酔を選択する方がよいでしょう。全身麻酔をかけて手術を行った場合、通常は入院しますが、日帰り手術でできる施設もあります。主治医とよくご相談下さい。
     
Q 今年の花粉症の季節は楽でした。もう予防しなくて大丈夫ですか。
回答者
眼 科

吉村眼科

吉村 利規院長

A 今年のスギ花粉の飛散予想は、例年より少ないと以前から報道されていました。実際に、2月から3月にかけての気候は晴天が少ない一方で風が強く、雨の日が多かったため、その結果、和歌山市内におけるスギ花粉の観測値は、昨年の10分の1以下でした。そのため、ご相談者も、今年は症状が楽だったのではないでしょうか。
 ところで、暖かくなり始めた3月末ごろから、眼のかゆみを訴える方が増えてきました。これは、スギ花粉が原因というより、ヒノキ花粉による季節性アレルギーのようです。
 また、これからの時期、カモガヤなどのイネ科の花粉の飛散が半年ほど続くといわれています。アレルギー体質の方は、身近な空き地等に生えているイネ科の雑草などには十分注意して下さい。症状が出てから始める抗アレルギー点眼薬による治療も、ある程度、症状を軽減する効果がありますが、原因となる植物が分かっている人は、それらの植物に近づかないようにするのが第一です。必要があれば、マスクや防護めがねの使用をおすすめします。
 外出後は、衣類についた花粉を落とし、洗顔、手洗い、人工涙液の点眼などで花粉を除去し、アレルギーの症状を予防して下さい。
     
Q インプラントで骨量が少ないと移植を行うと聞きましたが…
回答者
インプラント歯科

さのデンタル
クリニック

佐野 善啓院長

A インプラント治療では、骨量の不足しがちな上顎臼歯部には、サイナスリフトまたはオステオトームを採用します。左の写真は、審美性が求められる上顎前歯部の事例です。グラフト剤は自家骨移植(写真(1))で、骨伝導体と骨誘導体の混合材などもあります。高齢になり歯槽骨が後退すると、歯間乳頭が下がり、歯の間にすき間ができます。インプラントでは、歯間乳頭と呼ばれる美しい歯肉の再生が難しいとされてきましたが、近年、インプラント埋入時に唇側へ骨をグラフトする事で、美しい乳頭を長期間再生できるようになりました(写真(4))。これは下に存在する歯槽骨のサポートにより実現しています。
     
Q 足の血管がコブのように浮き出ています。下肢静脈瘤ですか?
回答者
外 科

楽クリニック

藤田 定則院長

A 足の血管がコブのようにはっきりと浮き出て、寝転ぶとコブは平らになる…このような症状は「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」が考えられます。これは、静脈という血管が壊れたことから、足で使われた血液が心臓に十分に戻らず、そのため、使い古しの血液が足にたまって様々な症状が出てくる病気です。
 初期には、夜になると足がつったりします(こむらがえり)。病気が進むと、夕方ごろ靴がきつくなり、足もだるく、足を投げ出したくなるような症状を自覚する方もおられます。冬になると、足の皮膚がカサカサし、かゆみが出て、掻きすぎることも。ひどくなると、毎日のように、以上のような症状に悩まされたりします。さらに病気が進行し、重症になると、足のところどころに茶色や黒いシミが出てきます。
 この病気はほとんどの場合、少しずつしか悪くならないため、症状が出てきた時期が分からない方や、足のコブがひどく大きくなっても症状に慣れてしまっている方もおられます。一方、急に痛みが出て、慌てて受診する方もいます。医学の進歩で、下肢静脈瘤は、日帰り手術で治るようになりました。一度、医療機関で診ていただくことをおすすめします。
     
Q 慢性腎臓病です。食事療法で透析になるのを防げますか?
回答者
腎臓内科

紀泉KDクリニック
腎臓専門医

大谷 晴久先生

A 慢性腎臓病とは、尿にタンパクが出たり、腎臓の働きが低下している状態で、放置しておくと末期腎不全と呼ばれる状態まで働きが低下し、透析治療が必要になります。慢性腎臓病は早期発見・早期治療により、治癒させることも可能ですが、いったん悪化してしまうと回復は難しく、徐々に悪化してしまうことが多いです。
 しかし、適切な治療(特に血圧治療と食事療法)により、悪化速度を遅くすることは可能であり、悪化速度を二分の一以下に遅くできたというデータも報告されています。この結果は言い換えれば、透析になるまでの期間を2倍以上延長できたということになります。
 病状や年齢にもよりますが、徹底的に悪化速度を遅くすれば、生涯透析になるのを防ぐことも可能です。
 血圧治療は130/80㎜Hg未満にコントロールします。食事療法は、減塩に加えて、タンパク質を制限することになります。
 しかし、低タンパク食はエネルギー不足になりやすく、十分な栄養指導を受けずに実施すると栄養障害の危険性もあります。まずは、かかりつけの内科医に相談していただき、それでもうまくいかなければ、腎臓病専門施設に相談するのがよいでしょう。
問い合わせ電話番号
福外科病院 073-445-3101
木下耳鼻咽喉科 073-402-3387
今村病院 073-425-3271
楽健康友の会 073-455-0709
紀泉KDクリニック 073-454-5515
吉村眼科 073-432-0314
さのデンタルクリニック 073-433-0790
            
※ニュース和歌山本紙での、次回掲載は2010年5月15日土曜日の予定です。お楽しみに!