おしえて! マイドクター 
2010年5月15日号より
質問内容
回答者
 深爪がひどく痛んで歩けません。 上出皮フ科クリニック上出 康二院長
 足の付け根が腫れてきて「そけいヘルニア」と言われました。 福外科病院福 昭人副院長
 話題のプラセンタには、美肌効果の他に、どんな効果があるの? おく耳鼻咽喉科・奥 雅哉院長
 前歯が折れてぐらついています。どのような治療法がありますか。 小西歯科クリニック・小西 良彦院長
 慢性腎臓病です。食事療法で透析になるのを防げますか? 紀泉KDクリニック大谷 晴久先生
 長年脱腸帯をつけていますが、きちんと治したいです。 楽クリニック藤田 定則院長
       
        
Q 深爪がひどく痛んで歩けません。

2カ月前に深爪をしてから、爪が皮膚にくい込み痛くて歩けません。くい込んでいる爪を無理矢理切ると痛みがなくなりますが、爪が伸びるとまた痛くなります。手術をせずに治す方法を教えてください。

回答者
皮膚科
上出皮フ科
クリニック

上出 康二院長

A 質問の方の爪を陥入爪(かんにゅうそう)といいます。爪をぶつけてけがをした時にもなりますが、多くは深爪が原因です。爪の横を切りすぎると、切りすぎた部分の皮膚が歩行時に上に持ち上がってくる結果、爪の伸びがじゃまされ、伸びる爪が皮膚にくい込んでいきます。この突き刺さっている爪を無理矢理切ると嘘のように痛みがなくなる一方、約三分一の人が再発を繰り返します。特に窮屈な靴やヒールの高い靴、長時間の歩行など足の指に負担がかかりやすい状況にある人は簡単に再発します。深爪だけではなく巻き爪でも爪がくい込み、痛みを訴える方がいます。

絆創膏や綿花を使ってセルフケア

 自分でできる陥入爪の治療に、テーピングがあります。絆創膏で爪が巻き込んでいる部分の下にテープを挟み込み、痛い部分の皮膚を下に引っ張って止めます。もう一つは、爪の下に米粒大に丸めた綿花を挟み込み、徐々にこの綿花のサイズを大きくしていく方法です。入浴後に行うと効果的です。

まず手術以外で治療法の選択を

 それでも良くならない場合は、人工爪、ワイヤや樹脂プレートによる爪の矯正、フェノール法、および手術となります。
 人工爪の原理は、深爪する前の爪の状態に人工の爪を作って元通りにすることです。ワイヤや樹脂プレートを用いる方法は、元の形に戻ろうとするワイヤや樹脂の反発力を利用し、爪にワイヤや樹脂を取り付けて爪の形をまっすぐにすることを目的とします。これらは、巻き爪や陥入の程度が比較的軽い場合には麻酔も必要なく、簡単にできます。ただし矯正ですので、爪が生え替わるまで1年間は続けなければなりませんし、保険も適用されません。
 症状がひどい場合には、フェノール法や手術となります。どちらも巻き込んでいる部分にのみ爪が生えないようにするもので、局所麻酔が必要です。フェノール法と手術の違いは、爪の生える部分をフェノールという化学薬品で焼くか、メスで切り取るかの点だけです。いずれも爪の幅が少し短くなります。
 以前よく行われていた術式や、単に爪を抜くといった方法では、高頻度に爪の高度の変形、再発、爪の横から小さな爪が生えてくると行った合併症がみられました。しかし、最近の手術やフェノール法では、そのような合併症は少なくなっています。ただ、一度このような爪の変形が生じると元に戻すことは困難です。まずは、手術以外の方法を選択することが無難です。

      
Q 足の付け根が腫れてきて「そけいヘルニア」と言われました。
回答者
大腸肛門外科・
消化器外科

福外科病院
大腸肛門病専門医
消化器内視鏡専門医
福 昭人副院長
A そけいヘルニアは、一般に「脱腸」と呼ばれる良性の疾患です。成人の場合、小児のヘルニアと異なり、自然治癒はしません。
 原因は、加齢と共に、下腹部から足の付け根(そけい部)の組織が弱くなり、その部分からお腹の中にある腹膜が袋状に飛び出てくることによって起こります。放置すると腫れが急に硬く痛くなり、指で押さえても戻らず、緊急手術が必要となります。
 薬で治すことができないため、待機的に手術を選択します。国内の手術件数は年間約15万件で、患者の8割は40歳以上の男性です。
 従来法はヘルニアの出口を糸で縫合してふさぐ方法でしたが、痛みが強いため、ポリプロリン製のメッシュ(柔らかい医療用の布)で傷に緊張をかけない術式がとられます。この方法では手術時間が短く、再発率も低くなります。
 医療費用節約のため日帰り手術(短期入院も含む)も可能ですが、
(1)中等度以上の肥満の方 
(2)陰のうまで腫れている方
(3)痛みに強くない方
(4)抗凝固剤を内服している方
などは5〜7日間程の入院加療が望ましいことがあります。専門医とよくご相談下さい。
 
           
Q 話題のプラセンタには、美肌効果の他に、どんな効果があるの?
回答者
耳鼻咽喉科
おく耳鼻咽喉科
奥 雅哉院長
A 「プラセンタ」とは胎盤のことです。最近、プラセンタエキスを使った美肌ケアやアンチエンジング(抗老化)が話題となっていますが、他にも様々な疾患に効果があることが分かってきました。
 まず、耳鼻咽喉科領域では、めまい、ふらつき、耳鳴、アレルギー性鼻炎(花粉症など)に効果が現れています。
 また、これら以外に、更年期障害、肩こり、腰痛、肝炎(アルコール性、ウイルス性)、肝硬変、慢性疲労、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、乾燥肌、自律神経失調症、不眠症、うつ病、膠原病、慢性関節リウマチ、神経痛、月経痛など、あらゆる疾患にすぐれた効果が確認できたといわれています。
 プラセンタは約40年前に認可され、それ以降、目立った副作用の報告がない、安全性の高い薬です。また、プラセンタは継続的に使用しても体にやさしく、「注射する漢方」と呼ばれるほどです。通常の医療(いわゆる西洋医療)で症状が改善されにくい場合、プラセンタは治療の選択肢の一つです。
 プラセンタ治療は基本的に自費治療(使用本数によって1本1000円〜2000円)ですが、疾患によっては、保険適応になる場合もあります。お気軽にご相談下さい。
     
Q 前歯が折れてぐらついています。どのような治療法がありますか。
回答者
歯科・口腔外科

小西歯科
クリニック

小西 良彦院長

A 完全に歯根まで折れている場合は抜歯し、一般的に小さな義歯かブリッジ治療になります。義歯は簡単にできますが異和感があり、ブリッジは固定式で異和感は少ないですが健全な隣りの歯を削る場合があるなど、欠点も挙げられます。
 別の治療法にインプラントがあります。チタン製の人工歯根を埋め込み、それに支柱や人工の歯を付けていくもので、見た目、装着感が良く、自分の歯のようになります。欠点は外科的手術が必要、治療期間が半年近くの長期になる、保険適用外のため治療費が高額、などです。
 近年、注目を集めているのが、抜歯即時インプラントです。抜歯と同時に、抜いた場所にインプラントを埋め込む手術で、歯肉を切開せずにすむため、腫れも痛みもほとんどなく、治癒期間も2〜3カ月と短くなります。ただ、この治療法は新しく、技術的に少し難しいところがあり、導入されている先生が少ないのが現状です。
 どの治療法も利点・欠点・リスクがあります。歯科医からきちんと説明を受け、納得してから治療にのぞみましょう。
     
Q 慢性腎臓病です。食事療法で透析になるのを防げますか?
回答者
腎臓内科

紀泉KDクリニック
腎臓専門医

大谷 晴久先生

A 慢性腎臓病とは、尿にタンパクが出たり、腎臓の働きが低下している状態で、放置しておくと末期腎不全と呼ばれる状態まで働きが低下し、透析治療が必要になります。慢性腎臓病は早期発見・早期治療により、治癒させることも可能ですが、いったん悪化してしまうと回復は難しく、徐々に悪化してしまうことが多いです。
 しかし、適切な治療(特に血圧治療と食事療法)により、悪化速度を遅くすることは可能であり、悪化速度を二分の一以下に遅くできたというデータも報告されています。この結果は言い換えれば、透析になるまでの期間を2倍以上延長できたということになります。
 病状や年齢にもよりますが、徹底的に悪化速度を遅くすれば、生涯透析になるのを防ぐことも可能です。
 血圧治療は130/80㎜Hg未満にコントロールします。食事療法は、減塩に加えて、タンパク質を制限することになります。
 しかし、低タンパク食はエネルギー不足になりやすく、十分な栄養指導を受けずに実施すると栄養障害の危険性もあります。まずは、かかりつけの内科医に相談していただき、それでもうまくいかなければ、腎臓病専門施設に相談するのがよいでしょう。
     
Q 長年脱腸帯をつけていますが、きちんと治したいです。
70歳の男性です。長年脱腸帯をつけていますが、だんだんと飛び出す部分が大きくなってきています。手術が怖くて今まで我慢してきました。きちんと治すために、何かいい方法はありますか?
回答者
外 科

楽クリニック

藤田 定則院長

A 脱腸は、足の付け根のおなかの壁が穴状にあき、その部分から腸や脂肪など、おなかの中の臓器が飛び出てくる病気で、「そけいヘルニア(脱腸)」と呼ばれます。放置しておくと、少しずつ飛び出る部分が大きくなってきます。
 脱腸帯と呼ばれるバンドで、脱腸の原因となる穴を押さえているときは飛び出してこないので、症状が和らいだように感じますが、はずすと飛び出てきます。脱腸の方の中には、単に飛び出すだけで、痛みなどの症状が無いために10数年来、脱腸帯をつけておられる方もいらっしゃいます。また、おなかの筋肉をつけて脱腸を治そうと、筋肉トレーニングや腹筋をがんばって行っている方もおられますが、残念ながら効果はありません。きちんとなおすためには、手術が必要です。

放置すると危険な状態になることも

 脱腸で一番怖いのは、「嵌頓(かんとん)」です。これは、脱腸の原因となる穴に、腸がはまり込んで、元に戻らなくなってしまった状態です。すぐに救急病院に行かないと、腸がくさり、おなかを切らないと治らないような大変な手術となります。特に、心臓や脳の病気で、血をサラサラにする薬を飲んでいる方や重い肝臓の病気の方は、非常に危険な状態になる可能性が高いです。緊急手術ではなく、きちんと全身の状態を調べた上での予定手術の方が、はるかに安全な治療が受けられます。

早期であれば日帰り手術可能

 脱腸の飛び出る部分が数センチの小さいうちは、原因となる穴も小さく、穴にふたをする手術のみで治療できます。しかし、脱腸が飛び出たままで戻らなくなった方や、握りこぶし2つ分くらいにまでなってしまった方は、穴が大きくなり、治療も難しくなります。時には、手術後1〜2日の入院が必要です。
 現在では、脱腸の手術は、眠っている間に、約60分以内の短時間で終わります。手術直後から歩け、術後の痛みも少ない日帰り手術でも治せるようになってきました。早期に家事や仕事への復帰が可能です。症状が悪化する前に、外科の先生に相談し、治療を受けられることをお勧めします。

問い合わせ電話番号
上出皮フ科クリニック 073-402-2200
おく耳鼻咽喉科 0736-69-1733
福外科病院 073-445-3101
紀泉KDクリニック 073-454-5515
小西歯科クリニック 073-425-6480
楽健康友の会 073-455-0709
            
※ニュース和歌山本紙での、次回掲載は2010年6月19日土曜日の予定です。お楽しみに!