城下町の風景 〜カラーでよむ『紀伊国名所図会』〜
画=岩瀬広隆、彩色=わかやま絵本の会・芝田浩子
広々とした北堀と大手道  (4)一の橋・大手御門付近

 上の絵は、和歌山城公園前から天守閣を望んだ約160年前の風景です。大手御門は、一の橋を渡って、お城の内郭へ入る門です。門の右には今はない月見櫓(やぐら)、二の丸には表御殿(おもてごてん)の大きな屋根がみえます。天守閣手前の峯、今の水道給水場の位置には本丸御殿がえがかれています。北堀は、明治時代以降、市電敷設と道路拡幅のため埋め立てられ、41メートルあった堀幅が29メートルになりました。一の橋から北(右)へ延びる大手道は、内川(市堀川)に沿ってあった土塁に突きあたり、クランク状に曲がって京橋に達します。
 三の丸には藩の重臣の屋敷地がありました。絵図の手前、大手道の東側には家老の三浦家、西側には渡辺家の一角がみえます。渡辺屋敷地の東側には細長い建物があります。その前には駕籠が五台並び、登城した藩士の家来たちが屋根に槍をもたせかけ、付近で待機していることから、待合所であったことがわかります。(和歌山市立博物館主任学芸員 額田雅裕)