城下町の風景 〜カラーでよむ『紀伊国名所図会』〜
画=岩瀬広隆、彩色=わかやま絵本の会・芝田浩子
今と変わらぬ お堀の鯉  (6)岡口・東堀

 広々とした水域は、和歌山城の東堀で、幅が約75メートル、今もそのままの広さで残っています。右下の建物は、三の丸の南東入口、広瀬口御門です。三の丸は紀州藩の重臣屋敷地で、同心が交替で御門の番にあたっていました。そこから風呂敷包みを担いで出てきたのは、おそらく出入りの呉服商で、お屋敷へ反物を持参して注文を取りにきた帰りでしょう。
 門の左側には松を植えた土塁がありました。それに沿った狭い水域は東外堀で、幅が約17メートルあり、内川を通ってここまで舟で物資を運ぶことができました。しかし、東外堀は大正5年(1916)から埋め立てられ、広瀬口御門や土塁も今は残っていません。
 東堀と東外堀の間には、大きな傘の下で、丸いセンベイを台に並べて売る店が見え、子どもが買い求めています。鯉はエサがもらえる南東の角に集まってきて、子どもたちはエサをばらまくと、鯉が飛び跳ね争って食べるのをおもしろそうに眺めています。(和歌山市立博物館主任学芸員 額田雅裕)