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上の絵は、約160年前の9月9日、本町五丁目の東側にあった造り酒屋、新屋の店頭をえがいています。暖簾に屋号を「あたらしや」と染め抜いています。
ここは城下町の中ですが、紀の川の伏流水が得られ、美味いお酒ができました。重陽の日は未明から、不老長寿の新酒「菊のした水」を求めて、人々が新屋に殺到しました。店内ではロウソクを灯して、枡と漏斗を使って酒を量り売りしています。店先には、酒徳利を持参する人や角樽を持ち帰る人にまじって、子どもの姿もみえます。今は未成年への酒の販売は法令で禁止されていますが、昔は子どもが酒屋へよくお使いに行きました。絵の左下では、子どもが徳利を落として割ってしまい泣き出しています。犬は無情にも尻尾を振って、そのにおいを嗅ぎに来ています。
新屋は代々御用を勤め、毎年新酒をお殿様に献上しました。紀伊国名所図会の編纂に尽力し、和歌浦に不老橋を架け、82歳まで生きた10代藩主治宝もこの不老長寿の酒を飲んでいたのでしょう。(和歌山市立博物館主任学芸員 額田雅裕)
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