城下町の風景 〜カラーでよむ『紀伊国名所図会』〜
画=岩瀬広隆、彩色=わかやま絵本の会・芝田浩子
大橋を裸でかける参詣客  (20)除夜日前宮へ裸参の図

 上の絵は、大晦日の夜に広瀬から和歌川に架かる大橋を渡って日前宮へ参拝する人たちをえがいています。今日でも除夜の鐘を聞いた後、初詣に出かけたりしますが、今より寒かった江戸時代に、裸で参詣する人たちが大勢います。何かご利益があるのでしょうか。月の出ない真っ暗な夜に、提灯を片手に日前宮へ行進する様子は、まるでお祭りのようです。
 大橋から田中町をまっすぐ東へ行き、東瓦町で龍神街道を右へ曲がって少し進むと、左手に日前宮の森が見えてきます。日前宮は、城下町の東、秋月に鎮座する紀伊国の一ノ宮で、日前・国懸(ひのくま・くにかかす)という2つの神宮からなっています。今日でも和歌山で最も多くの初詣客を集めています。
 大橋の東詰には右に番所、左に高札があり、背景の和歌川の広瀬河岸には船が停泊し、木材が山積みになっています。新年を迎える約160年前の城下町和歌山の風景です。(和歌山市立博物館主任学芸員 額田雅裕)