新屋は本町五丁目にあった造り酒屋ですが、新屋漬という小西瓜の粕漬も有名でした。元禄のころ(約300年前)に新屋の杜氏だった源五兵衛が布引村(現和歌山市)の西瓜畑から持ち帰った小西瓜を酒粕に漬け込んだところ、非常においしかったことからつくり始め、全国各地に出荷したといいます。 つくり方は、初なりの小西瓜を水洗いして、最初に塩漬し、それから酒粕に漬け直して本漬にします。上の絵は、約160年前の新屋で、小西瓜をはじめ白瓜や茄子などを桶に漬け込む粕漬の作業風景です。仕事がきついのか、背中にお灸の痕がある年寄もいます。 漬け初めから80日から90日ででき上がり、独特の風味と歯ごたえで好評を博したそうです。しかし、新屋は明治12、3年ごろに廃業しました。 今日でも、和歌山産の源五兵衛種という専用の小西瓜を使った奈良漬が売られています。普通の奈良漬はちょっと苦手ですが、小西瓜の新屋漬はどんな味がしたのか食べてみたくなりました。(和歌山市立博物館主任学芸員 額田雅裕)