働く女性のための職場環境づくりを県や市が推進する中、相互タクシー(和歌山市松島)は女性向けの勤務体制を整え、女性乗務員の積極的雇用を進めている。現在、8人の女性がハンドルを握り、「やりがいを持って仕事に取り組めています」と顔を輝かせている。

相互タクシー 環境整え積極雇用

 創業63年で約190人と県内最多の乗務員を抱える同社。タクシーは男性の仕事とのイメージが強い中、女性が乗務員として活躍できる環境整備に昨年、着手した。

 1日の所定時間に達すれば、個人の事情に応じて働く時間帯を組めるよう勤務を柔軟にし、保育施設利用費用の半分(上限4万円)を補助する育児支援を実施する。カーナビゲーション、防犯カメラを車内に設置し、安心して運転できるよう配慮した。昨年12月、国土交通省の「女性ドライバー応援企業」に認定された。

 現在20〜50代の8人で、女性が運転する車両には梅のシンボルマークを掲げる。南正枝さん(58)は親の介護、看取りをへて入社。午前中働き、午後は家事をした後、やや遅い時間帯まで走る。「家庭優先で働けています」とにっこり。

 早部香織さん(53)は「ずっとパートの仕事で給料が上がらなかったのですが、この年齢での正社員は魅力」。杦谷(すぎたに)京さん(59)も「歩合なので頑張りがいがあります」。田中敦子さん(55)は「いいお客さんが多いです。会社の配慮も感じます」とし、「運転手が女性だと喜んでもらえます」と口をそろえる。

 女性10人体制が目標で、松浦卓哉常務は「小さな子どもを抱え頑張る20代シングルマザーもいます。女性の優しさはやはり男性とは違い、お客さんもいろいろと頼みやすそう。観光分野やもう少し生活に密着した新たなサービスの可能性を感じます」と話している。

 なお同社は9月14日、障害者雇用優良事業所として県などから表彰を受けている。

(ニュース和歌山/2017年9月16日更新)