最近よく目にするこれらの言葉、どれも高齢者の体力低下に関することのようで違いがわかりません。それぞれどのような状態を指すのでしょうか? また、予防についても教えてください。

《回答者》
◆総合診療科・外科
貴志川リハビリテーション病院
西村 和彦院長

 フレイル、サルコペニア、ロコモティブシンドローム(略称ロコモ)は、加齢や疾患による機能低下を指します。

 フレイルは、加齢による心身衰弱の状態で、精神・心理的な機能が低下し、広く生活に支障をきたしています。

 サルコペニアは、加齢や疾患により筋肉量が減少し、筋力低下および身体機能が低下した状態を指します。サルコペニアはフレイルに含まれ、健康な状態と要介護状態の中間と考えられ、早期に対処すれば回復させることができます。

 一方、ロコモは、骨や関節、筋肉など運動器全体の機能が低下した状態で、年齢に関わらず発症するのが特徴です。

フレイル予防し 健康寿命のばす

 フレイルの主な原因として考えられるのが、

①身体的な活動量の低下
②認知機能や気力の低下
③社会とのつながりの低下です。

 さらに、次の項目から3つ以上該当すればフレイルと判定します。早期発見に努めましょう。

①体重減少…6か月で2㌔㌘の体重減少
②握力の低下…男性26㌔㌘未満、女性17 ㌔㌘未満
③疲れやすさ…ここ2週間以上、わけもなく疲れを感じる
④歩行速度の低下…1㍍歩くのに1秒以上かかる
⑤身体活動量の低下…1週間に1度も運動をしない

 健康寿命をのばすには、これらを予防することが大切です。そのためには以下の点を心がけましょう。

①筋肉づくりに欠かせないタンパク質を十分摂取する(栄養療法)
②ウオーキングやスクワットなど運動習慣を取り入れる(運動療法)
③持病を治療する
④感染症を予防する
⑤口腔・嚥下機能をケアする
⑥外出し、家族・知人と交流を深める

 いずれにしても、フレイルやサルコペニアの状態に早く気づき対処すれば、要介護状態に陥るのを防いだり、あるいは遅らせることができます。暑い時期ではありますが、熱中症に注意して頑張りましょう。

(ニュース和歌山/2025年8月24日更新)