けやき大通り沿い、緑のテントとピンク色のかわいらしい扉が印象的なパン屋さん。ランチや翌朝のためにと、時間を問わずパンを求め多くのお客様がやって来ます。看板メニュー「あんぱん」について、アーベン2代目加藤貞仁さん(45)にお話を伺いました。
ずっしりあんぱん 父と二人三脚
アーベンの「あんぱん」は、手にした瞬間、ずっしりとした重みに誰もが驚きます。実は、初代である父・都志雄さん(76)が1985(昭和60)年に店を開いたときは、ここまで餡が詰まっていませんでした。「『もっとあんこを入れてほしい』というお客様の要望に応え、少しずつ量が増えていったと父から聞きました。私が小学校に上がる時には、いまの大きさと重さのあんぱんになっていました」と話します。
幼い頃から父の働く姿を見てきた貞仁さん。高校卒業後は料理の専門学校へ進み、宝塚市にあるパン屋で修行を始めました。1年後の休日、ふと実家に戻ったとき、多忙な店を目の当たりにしたことから「これは自分が手伝うしかない」と帰郷を決意。父のやり方と、自らが学んだ技法を融合させ、時に衝突しながらも「美味しいパンを作る」という一点を大切に、親子二人三脚のパン作りをスタートさせました。
こだわりの象徴 守り続ける
早朝4時に起床し、作業場に入ると、まずはあんぱんの仕込みに取りかかります。午前9時の開店に間に合うよう、最優先で焼き上げるのは昔からの習わし。餡は、口に入れると小豆の香りがふわっと広がり、さっぱりとした甘みが特徴です。午前中に売り切れることも多く、電話での問い合わせも大半が「あんぱんはありますか?」というお声。かつては一人で100個をまとめ買いしたお客様もいたというから驚きです。
店頭に並ぶパンの種類は、数え切れないほど。そのレシピは、ノートに書き記したものもあれば、都志雄さんの頭の中にしかないものもあるそうです。「高齢になった父から、一つひとつ丁寧に受け継ぎながら、40年かけて育ててきたこの味を守っていきたい。誰もが驚くあんこのボリュームも、父のこだわりの象徴です。これからも〝アーベンといえばあんぱん〟と言っていただけるよう、精一杯頑張りたいですね」と笑顔で語ってくれました。
フレッシュベーカリー ABEND(アーベン)
和歌山市友田町2-152
電話 073-422-0141
営業時間 9:00~19:00
㊡日曜・祝日 ※6~9月は月曜も定休
(ニュース和歌山PLUS127号/2025年10月24日発行)
※記事は2025年10月24日時点です。
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