スーパーの菓子パン売り場や給食のパンとして定番の「ナカタのパン」。創業当初から製造している「スイートパン」は、職人の手仕事で今も味を守っています。老若男女に愛される秘けつや誕生秘話などを、名方製パン株式会社の田中佑汰営業部長(27)に伺いました。

「和歌山市布引の直営店『ナカタプラス』では、焼き立てパンなどを販売しています」と田中佑汰さん。

 和歌山県民の「あっ、知ってる!」の声が聞こえてきそうなピンクのかわいいパッケージ。「スイートパン」は、ナカタのパンの看板商品として愛され続けているメロンパンです。ビスケット生地とパン生地、大粒グラニュー糖のハーモニーがたまりません。

 

 

作り続けて120年愛されご当地パン

 

販売当初から変わらないパッケージデザイン。レトロ感が注目を集め、メディアで取り上げられることも。

 名方製パンは明治36年に名方吉兵衛が創業。パン作り一筋で120年以上続く老舗企業です。

スイートパンの成り立ちは、創業当時にさかのぼります。「もともとは食パンが主力商品でしたが、コッペパンや『スイート』など菓子パンも製造していたと聞いています」(田中さん)。「スイート」という名前の由来は、上に乗せるビスケット生地の甘い風味から。以来、その製法と名称を大切に守り続け、パッケージもそのままに、現在でも1日約300個を手作りしています。

 

 

火力の強いガス窯 高温でサックリと

 

 同社で18年間、パンを焼き続ける職人は、「ナカタのパンの特徴は、小麦の味がしっかりと感じられること」と胸を張ります。その秘密は、高品質な小麦粉とガス窯での焼成。「火力の強いガス窯だからこそ、小麦の風味が残るんです」。全長約20mのトンネルオーブンを使い、高温でムラなく手早く焼き上げることで、表面の絶妙なサックリ感が生まれます。 楽しい食感を添える大粒のグラニュー糖は、「見た目にも食欲をそそるし、歯ごたえもいい」と、大きな粒を使うことにこだわっています。

 生地を一つひとつ手で成形し、ビスケット生地を乗せる工程は、すべて職人の手作業。生地の状態を見極め、均一に仕上げる技術は、長年の経験が必要です。熟練の職人たちのこだわりが、ナカタのパンの伝統を支えています。

 販売当初より出荷個数は減っているとはいうものの、「変わらない味をずっと守り続けます」と田中さん。子どもから高齢者まで幅広い世代に愛されるやさしい味わいは、これからも和歌山の食卓を彩り続けます。

 

 

名方製パン

和歌山市布引774
TEL:073-444-6418

 

(ニュース和歌山PLUS122号/2025年5月23日発行)
※記事は2025年5月23日時点です。
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