和歌山市本町で「スタジオLOOSE(ルース)」を主宰する本山圭子さん(42)。劇団四季やニューヨークで経験を積み、2021年に拠点を構えました。教え子らと歩みを重ね、いよいよ5月17日㊐、第1回発表会『オズのまほうつかい』を上演します。「子どもたちが自分自身を解放し、全身で表現する喜びを分かち合いたい」と、稽古に熱が入ります。

自分を解き放つ

       「ワクワクする舞台をお届けします」

──表現の道を志したきっかけは?

 「小学1年からクラシックバレエを始めました。ただ、体格などから『向いていない』と言われ、続けたい思いを封じ込めていました。転機は福祉系の大学時代。脳性まひを抱えながら自立生活を目指す人々と出会い、懸命に自己実現しようとする姿に『私もやりたいことから逃げてはいけない』と、プロへの道を決意。スクールで歌やダンス、芝居を学び、大学卒業と同時に劇団四季に入団しました」

──劇団ではどのような経験を?

 「4年半の間に、『ライオンキング』など多くの舞台に立ちました。プロの世界は厳しく、毎日同じクオリティを保つ体調管理や節制、役の人生を深く掘り下げてから舞台に立つ『0幕(ぜろまく)』という考え方を学びました。退団後はニューヨークへ渡り、体の重みや呼吸を活かす『リモンテクニック』を習得。型にはまるのではなく、自分を解き放つ表現の深さを知りました。結婚を機に、14年に和歌山へ。10歳と8歳の子どもがいます」

ありのままの姿

──スタジオ名「ルース」の意味は?

 「ルースとは、研磨された状態の宝石『裸石』を指します。子どもたちは一人ひとりがキラキラした裸石。既成概念を取り払って、本来の自由な姿でいてほしいという願いを込めて名付けました」

──子どもたちへの指導で大切にしていることは?

   個性豊かな子どもたちが演じる

 「ファンタジーの世界に入り込むことです。何でも簡単に回答を得られる現代だからこそ、子どもたちが自分で考え、想像力をふくらませることを大切にしています。教室では、この役が今何を考え、どう生きているかに思いを馳せる『ごっこ遊び』の延長のような即興芝居を重視し、豊かな感性を育んでいます」

──ミュージカル『オズのまほうつかい』を初公演に選んだ理由は?

 「子どもたちがとにかく楽しめる作品をと、数年前から温めてきました。開校して5年が経ち、幼かった児童たちも高学年や中学生になり、子どもたちをメインに据えたいという私の願いが彼らの成長と重なって実現しました。大人7人を含め総勢54人がステージに上がります」

──見どころは?

 「劇団四季の公演にも参加されたミュージシャン、山下ジュンさんによる生演奏です。スティールパンや特殊な効果音が、子どもたちの動きと呼応します。客席からキャストが登場する演出もあり、会場全体がひとつになる、ワクワクする空間を目指しています」

──公演への意気込みを聞かせてください。

 「舞台はエネルギーの循環です。出した分だけ返ってくる保証はありませんが、出さなければ何も始まりません。日常生活では出せない自分の中のあらゆる感情を、舞台という場所で思い切りさらけ出してほしい。歌、踊り、言葉で、ありのままの裸石が光り輝く瞬間を、ぜひ会場で体感してください」

──今後は。

 「私が学んできた、自分の体と対話する楽しさをさらに伝えたいです。世代を超えて誰もが表現を通じてつながり合える、そんな場を作っていきたいですね」

スタジオルース第1回発表会 ミュージカル『オズのまほうつかい』

5月17日㊐午後0時半と4時の2回公演。和歌山県民文化会館小ホール。入場無料だが、要整理券。
問い合わせは本山さん(メールhammy.k.1203@gmail.com)。

(ニュース和歌山/2026年5月2日更新)