《回答者》
◆外 科
楽クリニック
藤田 定則院長

 脱腸の治療は手術加療で、現在は体に無害なメッシュシートを使って弱った部分を補強する方法が主流です。ふくらんだ部分に入り込んだ腸や腸周辺の脂肪組織などの臓器を元に戻し、原因となった穴の部分にメッシュシートを入れて袋を閉じます。しかし、シートは時間とともに縮小するため、患部が十分覆われなくなり、再発することがあります。また、治療後、大幅な体重増加や腹圧のかかる作業、便秘でいきむ、筋力トレーニングなどがきっかけとなって再発する可能性もあります。再発すると、手術前と同様にふくらみ、時には痛むことがあります。

 再発と診断されれば、同様に手術が原則です。最近は日帰り手術を実施する医療機関が増え、治療予定を立てるのも楽になってきました。しかし、前回の手術から長年経過して癒着が起こっていると時間を要します。また、再発時の健康状態によっては入院が必要な場合もあります。

 個人差はありますが、術後は極端な生活の制限もありません。翌日から入浴が可能で、2~3日ほど療養し、仕事復帰している方がほとんどです。脱腸の再発を疑ったら放っておかず、外科の診察を受けられることをお勧めします。

(ニュース和歌山/2025年10月18日更新)