《回答者》
◆整形外科
貴志川リハビリテーション病院
手外科専門医・足の外科認定医
整形外科専門医
谷口 泰德 副院長

 今年話題の映画「国宝」で歌舞伎役者が糖尿病により足が壊疽して、左膝から下を切断されます。そのため役者さんは左足に義足をつけることになり、そして悲しいことに歌舞伎の世界から引退します。足壊疽の初期症状は足の血流障害による冷感、色調不良です。その後、足の感覚がなくなり、傷が治りにくい難治性潰瘍が起こります。最終的に血管が完全に詰まって血流がとだえ、足が壊死し黒色になってミイラ様になります。足壊疽の原因には糖尿病、動脈硬化、透析、膠原病、喫煙などがあります。喫煙は症状を進行させ重症化させますので、禁煙が必須です。

 治療は病気の進行程度によって異なります。まず原因疾患の内科的な治療が必要です。そして血管外科や整形外科で足のキズの処置、壊死組織の切除などが行われます。完全な足壊疽になった時には、整形外科で足の切断が行われます。その後リハビリ科で義足の作成、歩行訓練が開始されます。足を切断した患者さんの5年後の生存率は約4割と言われます。足の切断を予防するために病気の早期発見と治療が必要です。専門的治療を行なっている総合病院を受診するようにして下さい。

(ニュース和歌山/2025年10月19日更新)