和歌山市の和歌山城公園動物園で飼育され、昨年7月に推定31歳で死亡したメスのツキノワグマ、ベニーのはく製が完成。9月23日㊋、和歌山城ホールで行われた「ベニーちゃん感謝祭」で公開され、多くの来場者が元気だったころの姿を懐かしんだ。
ベニーは同園3代目のクマで、1994年に京都市動物園から譲り受けた。大きな体とゆったりした動きが人気を集め、2015年には選挙で園長に就任。「お城の動物園の顔」としてPRに貢献してきた。
市民団体わかやまフレンZOOガイドは「生きていた証を残そう」と、はく製を作ることを決定。クラウドファンディングで寄付を募り、準備を進めてきた。
お披露目式で同団体の川島寛昭代表は、はく製を前に涙ぐみながら「今まで本当にありがとう。お疲れさまでした」と挨拶。顧問の松本朱美さんは、はく製の意義を、思い出を共有し命の大切さを伝えるとともに、野生動物との関わりについて考える機会にと説明した。また、飼育員の堀優芽さんが、水遊びをしたり落ち葉の上で眠ったり、季節ごとのベニーの様子を紹介。どっしりと腰を下ろし、はく製のポーズにもなった「社長座り」や、食欲旺盛でいつもきれいにご飯を食べきっていたことなどが語られると、会場は和やかな空気に包まれた。
家族で訪れていた和歌山市の中元千絵さんは、「毎年『ベニーが冬眠から目覚めました』というニュースで春の訪れを知りました。もっと長生きしてほしかったですね」と悼んだ。
はく製は、海南市船尾の県立自然博物館に寄贈された。
関連イベント ミニチュア模型 色塗り体験
小学生ら200人参加
同日、和歌山市が主催し、3Dプリンターで作ったベニーのミニチュア模型に色を塗る体験会が開かれ、約200人の小学生が参加した。
川永小学校6年の奈良颯祐さんは、「僕が見に行ったときは、活発に動いていた」と思い出しながら細かな部分まで塗り込み、ベニーそっくりに仕上げていた。全身オレンジ色に塗った有功小学校5年の堀希乃花さんは「動きがとても可愛かった。人形は部屋に飾ります」と大切そうに手のひらに乗せていた。
このほか、骨格標本やプロフィールをまとめたパネルも展示。メッセージコーナーでは、再会の喜びと感謝の言葉があふれていた。
川島さんは「はく製のベニーの笑顔は『私、こんなに愛されているんだ』と喜んでくれているように見えます。これをきっかけに、人と動物との関わりや動物福祉を考える場を設けていければ」と話している。
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和歌山市は、来年度中に同動物園に新たなクマを迎え入れることに向け、老朽化したクマ園舎の改修費用の支援をクラウドファンディングで呼びかけている。目標額は1000万円で、期限は12月26日。詳細は「史跡和歌山城」ホームページで検索。
(ニュース和歌山/2025年11月22日更新)




























