兄の取り組みを見て相撲を始めたのは4歳。着実に地力をつけ、中学生では全国大会ベスト8に名を連ねるまでに。高校入学と共に努力が実を結び、3年秋までに世界大会を含む7大会を制覇。高校相撲全国トップクラスの実力を引っ提げ、11月30日㊐に開催される全日本選手権に挑む。
全国屈指の実力
身長180㌢、体重120㌔㌘。アスリートとして申し分のない体格だが、相撲の世界では小柄な方だと自覚している。そのため試合では相手より先に素早く動き、自分の得意な形に持ち込むことを心がけている。
箕島高校入学時から将来を嘱望されていた。2年生の一年間だけで、全日本相撲個人体重別選手権大会ジュニア重量級、世界ジュニア相撲選手権大会重量級、全国選抜高等学校相撲弘前大会、全国高等学校相撲選抜大会で優勝を飾った。続く3年の9月、全国高校相撲宇佐大会、世界ジュニア相撲選手権大会無差別級を立て続けに制した。
そして迎えた国民スポーツ大会「わたSHIGA輝く国スポ」少年の部個人戦。ひと月のうちに3大会、しかも海外遠征も組み込まれた厳しい日程だったが、各大会に臨む気持ちには期するものがあった。実は5月に開催された全国大会と8月のインターハイは不本意な成績に終わったため、何としても優勝をもぎとろうと意を固くしていた。
国スポの決勝は甲斐田龍馬さん(東京・足立新田高3年)。身長、体重ともに上回る相手だったが、立ち合いすぐ横に動き上手を取ると一気に勝負を決めた。
「全国から強い選手が集まる国スポで優勝できたのは、とても意義のあるものだと思っています。実力を発揮できた、印象に残る大会になりました」と振り返る。
箕島高校に入学
出身は大阪府大東市。4歳の頃、地元の相撲大会に出場した兄の取り組みを見て、相撲を志す。小学4年生のときには、関西ブロック大会で準優勝を飾るまでに成長。中学生までは地元の道場で稽古に励み、高校は親元を離れて箕島高校に進学した。
同校相撲部は1928(昭和3)年、箕島町立箕島商業学校時代に創部。インターハイでの団体戦優勝をはじめ、全国大会でも数々の入賞歴を誇り、元関脇・栃乃和歌(現春日野親方)ら多くの実力者を輩出する名門だ。
志村大器相撲部監督は「麻田くんは1年生の頃から我慢強く、どんな状況でも前傾姿勢を崩しませんでした。将来は、強いからこそみんなの手本になるような人間に育ってほしい」と期待する。
めざすは横綱
通算7個のタイトルを獲得し、相撲道を走り続けた高校生活最後の目標は、11月30日㊐に両国国技館で行われる全日本相撲選手権。大学生、社会人らアマチュア力士が参加する中で、高校生の出場は2人だけだ。
「身体が小さかったので悔しい思いをしてきましたが、心は折れずに練習に励んできました。大会では高校3年間に取り組んで来たことを出し切って優勝したい」と力強く答える。
卒業後は大学進学が決まっている。4年間、相撲部で錬磨を重ねた後に大相撲の世界に飛び込むつもりだ。
「挑戦するからにはめざすは横綱。みんなから愛される力士になれるよう頑張ります」
(ニュース和歌山/2025年11月22日更新)




























