近隣住民が用意? 落ちた巣の代わりに

 ドラッグストアの駐輪場で、足下から聞こえるかわいい鳥の声。落ちたツバメの巣の代わりに、だれかが用意した植木鉢でヒナたちがすくすくと育ち、5月24日には巣立ったとみられる。

 ツバメが植木鉢で子育てしたのは、和歌山市関戸のココカラファイン西浜店。例年通り、ゴールデンウィークごろから鳴き声が聞こえていたが、5月15日、巣が落ちているのをスタッフが発見した。「この辺りはカラスや野良猫をよく見かけるため心配したものの、親鳥が威嚇するので近づけませんでした」

 数時間後、6羽のヒナたちは新聞が敷かれた植木鉢の中にいた。「近所のどなたかが用意してくれたのかと思います。野鳥を保護するわけにいかず、どうしたらいいかと思っていたので…」とスタッフもひと安心。

 その後、親鳥が植木鉢にエサを運び、近くの電線から辺りを警戒する姿が見られた。登下校時、ヒナの様子を気にしていた雑賀小6年の米倉大虎(たいが)くんは「ヒナたちが無事に育って、元気に飛んでいってほしいな」と目を細めていた。

 願いが通じたのか、5月24日夕方、残っていた2羽もいなくなった。スタッフは「みんな無事に巣立ってくれたはず。植木鉢を置いてくれたツバメたちのヒーローにお礼が言いたい」と話していた。

    (ニュース和歌山/2022年5月28日更新)