《回答者》
◆循環器内科
みなかたクリニック
南方  常夫院長

 ご質問者は、MRI検査を受けたけれども、冠動脈には異常がなかったとのこと。しかし、症状からは明らかに虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)が疑われます。従来、虚血性心疾患は、冠動脈造影が診断の中心でしたが、通常の冠動脈造影では捉えきれない病態があることにも注意が必要です。

 近年、注目されているのが、狭心症症状があるにもかかわらず冠動脈造影で狭窄病変を認めない「INOCA」です。INOCAは、冠動脈の痙攣(冠攣縮)と微小血管の機能不全(冠微小血管障害)の2つの病態が関与しているといわれています。また、胸痛などの症状や心筋逸脱酵素(トロポニン)の上昇など、心筋梗塞の病態を示しているのに冠動脈に閉塞性病変が認められない「MINOCA」もあります。心筋梗塞全体の6~8%がMINOCAといわれ、女性に多い傾向があります。なお、虚血以外の、心筋炎やたこつぼ心筋症等でも、同様の心電図変化や心筋逸脱酵素の上昇が認められるので、診断は注意を要します。

 もちろん、胸痛の原因は心臓だけに限りません。しかし、「この痛みは心臓以外の病気」と安易に決めつけることは危険を伴います。主治医とよくご相談ください。

(ニュース和歌山/2022年9月25日更新)